映画「地の塩」 過去ログ転載 | leraのブログ

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映画「地の塩」 2007年12月18日


映画「地の塩」

 汝らは地の塩なり、塩もし効力失はば、何をもてか之を塩すべき。後は用なし、外にすてられて人に踏まるるのみ。(マタイ 5-13)

 この作品が作られたのは「波止場」と同じ1954年である。
 マッカーシズムという亡霊が跋扈し、多くの人たちが追われた。ハリウッドでも多くの人たちが追われた。その人たちが作った作品であるという。

 さらに実際の労働運動の現場を見てこの作品を作った。プロの俳優は3名のみで、他は実際に労働運動に携わっていたひとたちである。そして撮影中から多くの弾圧を受けた。メキシコ国籍の女優であるロザウラ・レヴエルタスは撮影中に国外退去になり、後半はメキシコで撮影された。

 しかし、それにしても凄い作品があったものだ。事実たいへん驚いた。70年代に一度だけ日本で公開されただけと言う。先住民族問題、人種問題、労働問題、女性問題がテーマである。この時代にこんな作品が残されたことが奇跡だと思った。

 アメリカ合州国のニューメキシコ州の亜鉛鉱山が舞台である。第二次世界大戦後のアメリカはマッカーシズムが吹き荒れ、レッドパージと労働運動の締め付けが激しくなるが、1947年に制定されたタフト・ハートレー法がその極めつけであった。同法はクローズドショップ制(労働組合に加入していることを雇用の条件とする)の禁止やストライキの禁止を柱とした。

 作品はタフト・ハートレー法が成立した後である。

 白人(映画のスーパーの表現、コーカソイドあるいはアメリカ国籍を元々持つ外来者)とメキシコ系労働者の賃金格差、安全管理の不備を理由に労働者と会社側が衝突する。そしてストライキとなるが、それは警察側の弾圧や裁判所からの命令で終息しそうになる。その時に女性達が立ち上がる。なぜなら裁判所の命令は「鉱山労働者」と言っているからだ。

 女性達は、白人住宅にある給湯設備を新たに要求していく。労働者の男性達は「今まで知らなかった女性の労働」や「女性達の要求」を知り、女性の活動を今まで快く思っていなかった男たちも協力体制に入っていく。

 女性達が「行動」するきっかけは、警官隊の暴力を眼前にした時からだ。
 しかし苦労は倍化していく。労働者住宅からの追い立て、同じ民族ルーツを持つ貧しい人たちのスト破り。7か月にわたるストを支える食糧の確保…

 そして女性達は子どもを地の塩に例える。

監督:ハーバート・バイバーマン Herbert Biberman