映画『河 あの裏切りが重く』
2014年3月31日ラピュタ阿佐ヶ谷での上映の時、偶然森弘太監督が来館し上映の前後にスピーチをした。
製作(1967)当時広島では上映を拒否された。
その理由は、外傷被爆者が出てこない、NHKの日本映画コンクールのノミネートから外された(大島渚監督の『白昼の通り魔』と一緒に左翼的という理由で)、球場や平和大通りや広島城といった復興のシンボルが写っていない…などであったと言う。
ところが4年ほど前から広島で複数回にわたって上映がされるようになった。
製作当時は未認定という言葉はなかったが、この作品で扱ったのはまさしく未認定被爆者であり、二次被爆であり、内部被爆であった訳で、国はそれらの調査を全くやっていなかった。
スラム(被爆者部落)の連中という言い方がされた。
3・11以降、二次被爆、内部被爆、被爆二世・三世など新しいタイプの被爆という意識がこの作品に目を向けるきっかけになった。
監督は25歳の若造が作った全くテクニックのない作品と卑下されていた。
映画は突然いなくなった友人の兄(被爆者)Mを探すというだけ。
その行為の中で色々な被爆者に出会う。
タイトルの河とは、河(太田川)に並ぶ被爆者部落と言われたバラック群をさす。それを河側から、内部から、モンタージュ手法で写し取って行く。
こうの史代のマンガ『夕凪の街』の主人公は母と二人で被爆者部落に住んでいる。その描写が目に浮かんだ。
タイトルの裏切りとは、原水爆禁止運動が社会党系と共産党系に分裂したこと。
安保闘争が敗北し、アメリカの核のカサの下に入ったこと。
これらによって壊滅した被爆者運動のことだ。
長崎の松谷英子が提訴するまで非外傷性被爆者は補償の埒外に置かれていた。それは国や厚生省が切り捨てたからだ。
3・11の数か月後約1万人の未認定被爆者の申請に対し、国は8千人を却下した。
映画としてATGの存在感を感じる。
監督:森弘太
出演:灰地順、富田公子