映画『自分の穴の中で』 | leraのブログ

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映画『自分の穴の中で』







 『山と谷と雲』で石原裕次郎の兄を演じた金子信雄がここでは北原三枝の兄。








 プロローグのタイトルバックは銀座の遠景だが、ジェット戦闘機が編隊で飛ぶ。55年公開作品だから米軍のものしかあり得ない。(シーンでは国籍は分らない。当時では誰でも分ったのだろう)次のシーンもジェット機なのだが、場所は山の中。住民たちが集まって小さなトンネル(防空壕には見えない)で寝ている男(宇野重吉)を死んでいると思ったのだ。そしてただ寝ているだけと分かると「東京モンだろ」と言う。その場所は何と砂川なのだ。基地反対の幟がたくさん立っている。





 北原三枝の家は松濤のお屋敷。しかし(おそらく)大学教授の父が死んで、兄が病弱で家は没落しつつある。向かいの方には大きなスポーツセンターと称する建物が建築中で騒音がしている。これはセットではない。時代の変化も表現しているよう。








 美しい義母(月丘夢路)と北原の父の教え子である医師(三國連太郎)に思いを寄せ合う。三國はドンファン。





 とにかく北原が美しい。


 常にウェストを強調したスタイリッシュなファッションでプロポーションが素晴らしい。さらにセリフは常にクール。ある意味ぶっきらぼう。これは東京の女性の話し方ではないか?








 カメラワークもいい。


 特に箱根の旅館での鏡台のシーンは実に美しい。








 松濤の屋敷は抵当に入っているし、生活費と兄の療養費のために売った京都の土地代金は兄が株式売買ですってしまうし、義母は実家に帰り、兄は死に何も残らない。





原作:石川達三、監督:内田吐夢