長谷川三千子氏の男女雇用均等法への「批判」
NHK経営委員で埼玉大学名誉教授の長谷川三千子氏(比較思想、日本文化論)が男女共同参画社会基本法などを「批判」するコラムを産経新聞に載せた。
その論理は
『「性別役割分担」は哺乳類の一員である人間にとって、きわめて自然』というもので、少子化対策の解決策として「女性が家で子を産み育て男性が妻と子を養うのが合理的」と主張し「男女雇用均等法の思想は個人の生き方への干渉だ」と「批判」したという。
さらに氏は、婚外子の相続差別規定を廃止する最高裁決定も批判し、選択的夫婦別姓にも反対している。
氏がジェンダーの観点からの批判を予想しているかどうかは想像するしかないが、男女雇用均等法への批判については別の観点から見てみたい。
男女の雇用均等は当然のことである。
しかし家事労働もたいへん重要であり、妊娠・出産はもっと一大事である。つまり同法にその観点があるかを探らないと法律の意図が見えてこない。
この法律がよくできているのなら、家事労働に多くの時間をさく男性が増えるはずだし、女性が妊娠・出産のために活動を制限されるならそのサポートをする男性が増えるはずである。
家事労働の時間を夫婦で均等とし、女性が妊娠・出産している間に男性が家事労働に従事するなら、家事労働時間は男性の方が多くなるはずである。
有償労働だけが労働ではない。無償労働も労働である。逆に家事労働がなぜ無償なのかについての論説はあまり目にできない。上野千鶴子著『家父長制と資本制』のみかもしれない。
現実は違う。
男女雇用均等法によって夫婦共働きが増え、総家事労働時間は減少した。
そして企業は扶養手当などから解放された。
男女雇用均等法が賃金低下と労働条件の悪化と労働者の権利の低下効果だけがあったとするならとんでもないことだ。
確かに少子化の最大の原因は男女雇用均等法にある。
しかし、同法の「効果」である「低賃金」「長時間労働」「非正規労働」「労働者保護の崩壊」「労働者権利の低下」が原因なのである。
もしこれが財界の目論見だとしたら、企業法人はグローバル化し市場(販売・労働)を求めて国境など無視するから、男女雇用均等法は絶対に改善されない。つまり少子化は改善されない。