十文字中学校 曽我部マコト作『パヴァーヌ』
ひとりの少女の死によって偶然集まった人たちが、その人について語る密室会話劇。役者もセリフがちゃんと「交感」され、しっとりとした舞台という印象を持った。私はこういう本は好きだ。題名はもちろんラヴェルの曲から。
講評:セリフがちゃんとした劇。セリフとは言葉で場面をイメージさせること、役者のイメージを吐き出す事。稽古の後が見えた。セリフは交流するもの。言いたい、聞きたいという思いを忘れやすい。なぜならセリフは文字で書かれているから。
14日発表校は以下。
東京農業大学第一高等学校中等部 安部雅浩作『アスタリスク』
講評:オープニングのセミの声が客に夏を想像させよかった。その場にいない者を話題にする時は、アクセントをつけたりする工夫が必要。制服の場合も皆が同じになってしまうのでアクセントをつけることも必要。
日本大学第一中学校 水月あかり作『ワスレナイ…』
講評:異物(アンドロイドと人間)とのつながりはセリフのキャッチボールが必要。参考として大橋泰彦作『ゴジラ』をあげた。
立教女学院中学校 内田夏鈴(生徒創作)作『満月の下で』
講評:登場人物が多かったが名前に特徴があってよかった。衣装も発声もよく、重いものが軽いのはおもしろさである(これは「水の精」のこと) ラストは何かがかわる、というようにしたいが笑顔のラストは印象的。劇中劇の時はセリフのトーンを変えるといい。
成蹊中学校 宮本浩司(顧問創作)作『時櫻Ⅱ章』
講評:桜の舞台装置がよかった。(時代劇の場合特に)言葉、所作は嘘っぽくならなにいように。
品川女子学院 湖社シンジ作『まじめなBerry(5人バージョン)』
講評:お笑い芸人のパクリはそれで終わってしまうのでオリジナルでがんばりたい。
工学院大学附属中学校 齋藤卓己(顧問創作)作『正しいスキのつたえかた』
講評:カタチに心のリアリティーを、効果を信じ、自分のセリフを信じる。
大妻中学校 中学演劇部作『SO∞RA』
立教池袋中学校 西川大貴作『願望と憂鬱とハイジャック』
講評:作家とディスカッションしてもいいはず。本は生き物(よって時代によって変わっていい)
獨協中学校 石塚薫(生徒創作)作『士道』(さらいどう)
講評:殺陣のためのスジでも役者のカタルシスがあり楽しそう。役者の楽しさが目立った。
日本大学豊山女子中学校 杉山未紗(OG)作『FRIEND ☆SHIP』
講評:何が始まるのか、客を引き込む幕開きは必要。異性の化け方が重要でそれは衣装だけではない。
講評は舞台美術家の土屋茂昭氏と東海大附属高校久保田邦明先生と都立橘高校の宮下かつひこ先生。
受賞
内木文英賞(最優秀賞) 工学院大学附属中学校
東京都私立中学高等学校協会賞 日本大学第二中学校
特別賞・創作 立教女学院中学校
特別賞・舞台美術 成蹊中学校
特別賞・演技 立教池袋中学校
特別賞・スタッフワーク 京華学園
特別賞・アンサンブル 富士見中学校
特別賞・演技 十文字中学校
今回思ったのはホスト校(京華学園)の大変さだ。
高校演劇の中央発表会などは緞帳が下がっているのでわからないのだが、この日は緞帳を下げての作業は出来ないので、舞台セッティングが見られた。
照明セッティング、背景画搬入、大道具搬入、音響テストそれらが驚くべきスピードでテキパキとなされる風景は感動的ですらあった。他に楽屋の準備や備品の調達などさぞ大変だったろうと思う。芝居というものは本当に多くの人に支えられてできているのだという思いを強くした。
最後にスピーチしたI先生も言っていたが、芝居は「人間が人間の中で作られる」という言葉に胸を熱くした。
私は1本の商業演劇を観るなら3本のアマチュア演劇を、をモットーにしているのだが、ここのところ三本続けて商業演劇を観ていてそれらが胸にストンと落ちないものばかりで苦しい思い(私の想像力不足が理由)をしていたのだが、8本の学生演劇を観てとても楽しかった。(演劇部学生諸君には逆にたくさんの商業演劇を観てほしい)
中学校の演劇を観られることは稀有なことであり、自らの切ない想い出もあり、貴重な時間を過ごせた。演劇部学生に幸あらんことを…