西村悟に酔う 2013年1月7日 | leraのブログ

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西村悟に酔う


 ニューイヤーコンサートは三拍子に負う。なぜなら眠くなったら三拍子は心地よいし、ラデツキーで手拍子を強制されたら一時的に眠気も消える。


 しかし、今年は違う。

 富士通ニューイヤーコンサートと題された、華麗なるイタリア・オペラの世界「椿姫」ハイライトを聴きに行った。(2013.1.7:東京文化会館大ホール)


 シンガーは美形で著名なグラディス・ロッシ(ソプラノ)、私がファンである西村悟(にしむら・さとし:テノール)、堀内康雄(バリトン)、オケは東京フィルハーモニーで、指揮は大井剛史。


 第一部はアラカルトで、東フィルで「ナブッコ序曲」…そういえばヴェルディ生誕200年ですよね。
 次にロッシの「私が街を歩けば」(ラ・ボエーム)。やや芯が細い感じはしたハイノーとは鼓膜にビンビン響く好きなタイプ。


 その次はバリトンのアリア。U・ジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」から祖国の敵。声楽の好きな人に問いたいが、バリトンの独唱でつまらなかったものってありますか?

 堀内康雄さんは日本で代表的なバリトンですが、それは素晴らしい。


 次に「誰も寝てはならぬ」です。
 これは我々の世代だったら80年代のドミンゴを知っていますから、逆から言わせれば自信のある選曲だと思う。
 ところがこれが絶品。今まで聴いたなかで(ドミンゴやパバロッティは生では聴いていません)最高の歌唱で、魂が揺さぶられ訳もなく涙が出来ました。


 第二部は「椿姫」のハイライトです。
 「ある幸福な一日」のソプラノとテノールの二重唱は、歌で感情の盛り上がりを表現する素晴らしいもの。求愛と拒絶が二重唱を重ねることによって魂の共感を見出していくところ。素晴らしい。字幕があったらもっと良かったと思う。特に愛の歌にはコンサート形式といい字幕が欲しい。


 ロッシはとにかく素晴らしい。ステージングもオペラファンの心を斟酌している。特に三幕の「さようなら、過ぎ去りし日々」は、スゴかった。あんなソプラノを今後何度聴けるだろう。


 そして最後の「パリを離れて」。
 ヴィオレッタの心情はここに表れている。この二重唱は今までむ聴いたなかで最上のものだった。「哀しみを喜びの中で唄う」という感じで感動した。


 アンコールは「乾杯の歌」。
 元々コーラスがいないので「乾杯の歌」はやらないと思っていた。この乾杯の歌が幕引きには丁度良かったと思う。


 「乾杯の歌」がなければそのまま帰ったと思う。

 アメリカ映画の「失われた週末」ではないが、乾杯の歌を聴いて呑みたくなった。たまたま配偶者以外の女性と一緒だったので、呑みに行ってしまった。


 とにかく、素晴らしい音と、素晴らしい音楽に酔った。

 西村悟は素晴らしい。