映画『チャイルドコール』
「トーキョーノーザンライツフェスティバル2013」初日3回目の上映作品。
当フェスティバルはスカンディナビア三国にデンマークとアイスランドをくわえた五か国による映画と音楽のイベント。本作はノルウェーのポール・シュレットアウネ監督の作品。
硬質な透明感のある画像は多くの人を映画の中に引き込むことに成功している。さらにオープニングからの緊張感は観客を掴んで放さない。これは監督が元々写真家であったことと無関係ではないだろう。ストーリーから小さな鍵をいくつも渡され、その鍵を開けてその中にあるものを線で繋げる作業も強いられ、緊張感は増大する。
さらに登場人物ひとりひとりが翳がある。笑うのは量販店の店員の男性と食事するときだけである。
スクリーンはエンドロールまで緊張を保ち続け、あっという間の96分である。
主演:ノオミ・ラパス、クリストファー・ヨーネル
監督: ポール・シュレットアウネ
2011年ノルウェー、ドイツ、スウェーデン映画
原題:Babycall
ここから先はネタバレあり。
なぜなら3月30日より一般公開が決まったため。(ヒューマントラストシネマ渋谷にて)
上映後監督のインタビューがあった。
安物のチャイルドコール(映画の中ではBabycall)の混線で児童虐待が見つかったケースが実際にあり、それがヒントになった。『ジャンクメール』と『インソムニア』はブラックユーモアにカテゴライズされると思うが、本作はサイコスリラーにカテゴライズされるだろう。製作の世界を広げたいと思いサイコスリラーを選んだ。好きな監督としては初期のポランスキーやヒッチコック。
以上。
作品は確かに質の高いのだが、ひとつ疑問が残る。
妄想と現実が行き来することは分る。しかし妄想や幻視はそれを体験する対象が明確でなければならない。ラスト近くの少年二人で会話を交わすシーンの対象が不明確なのだ。あのシーンは誰の妄想、あるいは幻視なのか?私にとってはかなり深い疵に感じる。
また、アナが駐車場でパニックに陥った後に濡れていた理由も不明確だ。駐車場、病院、学校、アパートのルートが全て妄想というのなら矛盾はなくなるが、それでは妄想と現実を行き来していない。
