フェイシング・アリ | leraのブログ

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 私の衝撃的なボクシング体験はカシアス・クレイにある。


 ケネディ暗殺を最初に報道した日米衛星中継は後にボクシングのヘビー級タイトルマッチを放送する。





 1960年代はボクシングのメジャーなスポーツだった。1964年の東京オリンピックで桜井孝雄がバンタム級で金メダルを獲ったことも関係があるだろう。





 深夜のテレビ放送で見たのがカシアス・クレイのタイトルマッチだった。

 その時の驚きのひとつは試合中クレイが何か相手に向かって言っていたこと。アナウンサーの質問に解説者が「what you name?」と言っています、と言い「相手を馬鹿にした言い方なんでしょう」と付け加えた。


 クレイのフットワークにも魅せられた。





 映画『フェイシング・アリ』を見てその試合がわかった。

 1967年2月6日のアーニー・テレル戦だった。

 そして、「クレイ」が「what you name?」と言っていたのではないことが分かった。





 カシアス・クレイは1964年にネーション・オブ・イスラムに入信し「モハメド・アリ」と改名する。アーニー・テレルが彼を「カシアス・クレイ」と言い続けたため、試合中に「私の名前はなんだ?」と言い続けたということだった。





 しかしすごい時代だった。

 公民権運動が激しさを増し、モハメド・アリがベトナム戦争の徴兵拒否をし試合権利を剥奪され、マルコムXが暗殺され、マーチンルーサーキングが暗殺され、ロバートケネディが暗殺された。





 この映画ではアリと闘った10人のインタビューで構成されているが、その話もすごい。


「一日一食だったが、刑務所に入って3食食べられるようになったからボクシングを始めた」


「表に出てマリファナを売るという生活から離れるにはボクシングしかなかった」





 主にアフリカ系の選手だが、コーカソイドとしてヘンリー・クーパー(イギリス)とジョージ・シュバロ(カナダ)がいる。クーパーは貧しい労働者階級出身だったが、(「表でマリファナ…」は彼の弁)今ではナイトの称号を得て安定している珍しいタイプ(この作品出演後死去)。シュバロの悲惨さはものすごい。息子や妻をドラッグや自殺で失っている。





 彼らの言葉のひとつひとつが重い。その重さは時代の重さであり、人種の重さであり、貧困の重さだったのだろう。





FACING ALI

2009年アメリカ/カナダ映画



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監督ピート・マコーマック