劇団THE★落花生「落花生★チャンネル」 | leraのブログ

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自らの文章のアーカイブと考えている

 劇作家としての小泉喬平を追いかけている。


 彼の劇作法は「幻惑」にある。どう幻惑されるかが観客にとっての最大のテーマとなる。


 今回は、小屋に入ったところから幻惑される。
 なぜならマンションの1室であり、そこでは人々が自作の「千葉県いろはかるた」に興じているからだ。私はその手に乗らぬと無視を決め込んだ。

 舞台を観るということは、舞台に加わるということである。しかし観客としては距離をとることが必要だとも思うからだ。そう思うと舞台と観客は敵対する関係なのかもしれない。お互い惹かれあって敵対する。劇作家から言わせれば観客は批評するものだから敵対対象かもしれないが、私は絶対に「批判」はしない。自分の体調が異なれば、観え方も変わると思うからだ。もっともこの考えはジャズ評論家のいソノてるヲの受け売りだが。


 今回も千葉県に密着した舞台である。

 舞台は切れ目のないくすぐりの連続である。そのくすぐりも時代的背景や地域性がある。例えば「ヒデキ、カンゲキ!」「と言っても西城じゃないよ、東条だよ」。そんなくすぐりとスピード感とローカル色が観客を幻惑させる。観客はついて行くのがやっとで、気づくと劇作家のペースにはまっている。もうチャンネルを「まわす」(変える)自由は奪われている。


 この細分化されたくすぐりは、歌舞伎の手法でもある。通し狂言以外の歌舞伎は、ストーリーのある部分だけ抽出して舞台にしてしまう。これは観客の協力がないとできない。また抽出は「くすぐり」である。

 舞台表現の原点を観たような気になった。色々な人々が出てきて棘を感じないのは劇作家の千葉県に対する愛着の表れか?また役者が劇作家の意図をくんで、ものすごいスピードで「駆ける」。実は見慣れている役者も多いので贔屓目に見てしまうのかもしれないが、今回は役者の占める割合はたいへん大きいと感じた。また役者が役探しに奔走しているように見えるメタ舞台としての手法も、観客に隠微な悦びを与えるのかもしれない。


 小泉喬平の千葉へのこだわり、もっと長いスパンで展開されるのだろうか?


題名:落花生★チャンネル 人にはそれぞれ事情がある
作・演出:小泉喬平
制作:来見田遥一、井ノ上理華
衣装:タリ、杉山春佳
宣伝美術:前田佳奈美
参加劇団:劇団コギト、劇団ダダン、劇団娘の予感
役者:安西駿太朗、池村直美、石川みなみ、千野ほなみ、増元亮太、小泉喬平、小野綾香、佐藤泉、高山翔貴