劇評『アイのしるし』(劇団「THE★落花生」) | leraのブログ

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劇評『アイのしるし』(劇団「THE★落花生」)
 小泉喬平と米津知実が関わった舞台に触れるのはこれで三度目になる。

 「おはようと言ってほしくて」(演劇集団メトロ遠線)
 「幸せは歩いて来ない、だから這ってでも掴み取れ」(劇団Kling Klang)

 そのいずれもが、彼らのキャラクターを強く感じる。(「幸せは歩いて…」で小泉は舞台監督のみ)

 テーマは愛であり、恋である。普遍性があるが未解決事象である。そして、愛と恋を定義しようと試みている。あるいはそれ以前なのかもしれない。なぜなら愛ではなく「アイ」だからだ。

 愛や恋は未定義でありながら、眼前に存在し、さらにそれに向けて駆り立てられる、故に懊悩するのだ。よって他者と「結びつけたり」「別れさせたり」することによってその定義をしようとするのかもしれない。

 「恋愛モノ」はベッドに行く直前で終焉を迎えると言う。なぜなら性行為は凡庸であり、ある意味滑稽であるからだ。愛や恋は人を詩人にもするし、画家にもするし、役者にもする。
 ならば、恋の成就とは何なのか?これも未定義なのか…

 テンポのいいセリフ、機能的な舞台装置、そして頻出するくすぐり。小泉ワールドの二層構造はここにあるようだ。その二層構造とは毎日のように消費される卑近な「時間」と、それとは別の次元にある人の思いである。

 所詮人間など滑稽な存在、しかし思考し悩む人間は哀切である。結局人は誰かを好きになったり、好かれたいと思うし、誰かを愛したいし、愛されたいのだ…こんな人間という存在を表現している。

 もっとシンプルに、降ってきた雨に傘を差し出す、そんな優しさがあるだけで十分なのかもしれない。しかし、優しさは伝わらないのだ。何故か?愛や恋が定義されていないため、愛や恋に幻想を持つからだ。夢を見る権利は誰も侵害できない。

 そして、出会いと別れを繰り返す。
 こんな哀れな存在として人間が愛おしくなるのだ。
 舞台は、そんな心情で充満している。


作・演出:小泉喬平
舞台監督:和泉淳
舞台美術:米津知実
音響:千野ほなみ
照明:翡翠
制作:来見田遥一、井ノ上理華
宣伝美術:前田佳奈美
小道具:戸田花奈子
衣装:タリ、杉山春佳

尚、劇団「THE★落花生」は4大学ユニットのためか今回の舞台が旗揚げでありさよなら公演である、らしい。

2011年9月8日から11日まで。(10日はマチネーあり、11日はマチネーのみ)
場所:ART THEATER かもめ座(南阿佐谷)

 「ART THEATER かもめ座」は『銀河旋律』(2008年劇団ダダン)を観た小屋で、演劇が良かったので小屋の印象も良い好きな小屋だ。ちなみに『銀河旋律』では四家準平が主役で、過去に固執する男を好演していた。今回の『アイのしるし』では衣装の人!になっていた。昨年の『いつか、どこかの物語』(劇団ダダン)でもトトロのさつき役をやっていて、ここでも衣装の人だった。四家の今後も期待したい。 
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