市民科学者を標榜した故高木仁三郎の遺著『原発事故はなぜくりかえすのか』(2000年岩波新書)p.177に「パッシブ・セイフティー」という概念が述べられている。
原発が深刻な事故に至った場合、人為的は判断で外からダイナミックな装置を介入させてシステムを止めるとか、緊急冷却水を送り込んで原子炉を冷やすというようなことではなくて、本来的に備わった安全性(パッシブ・セイフティー)によって暴走を止めるようなあり方のほうが望ましい(略)
たとえば原子炉の温度が上がってくれば自然と反応が下がるような、あるいは反応度が上がってくればフィードバックが働いて反応度が下がる、原子炉が止まる。
あるいは安全システムも、危機状態のときにモーターなどを使って人為的で動的な介入をして安全を確保するようなことをやると、モーターが動かないときはどうするのかという問題が必ず出てきます。
危機状態になったら必ず、たとえばもっと強力な自然の法則、重力の法則が働いて、それによって制御棒が挿入されるというような、そういった本来的な安全性が働くような形のシステムであったほうがよい。
原発は自然の法則にもっとも逆らったシステムの典型。それに対するパッシビズムの極致は自然の法則にもっと従ったシステム、たとえば太陽熱のように基本的に循環の中でエネルギーを賄っていくようなシステム。