1945年8月15日以降、ポツダム宣言受諾後の樺太(現サハリン)が舞台である。
この作品は1974年に完成したが、ソビエト大使館の抗議により、ほとんど上映されなかった。2004年にフィルムが発見され、それをデジタル化しようやく7月17日から公開になり日の目を見た「幻」の作品である。
日本軍はポツダム宣言を受諾したので、戦闘を停止する(後に一部地域に防衛戦闘のみ許可の命令が届く)。ところがソビエト軍は南下を進め、航空機攻撃、艦砲射撃、をし多くの民間人が死んだ。緊急疎開船も国籍不明潜水艦によって魚雷攻撃を受け、多くの犠牲者をだしている。
真岡の電話交換手をやっていた若い女性9名が、最後まで業務を全うし自決した事件を扱ったものである。
ホロコーストであり、戦争犯罪である。
しかし、それでも不愉快なのは、天皇制というシステムからくる無計画性と無責任性である。
当時樺太はソビエト連邦と分割していた。地続きだったわけだ。
中立条約の期限がまだ残っていたとしても延長通告時期は来ていたし、大祖国戦争を戦った敵国ドイツと日本は同盟を結んでいた。さらに、ヤルタ会談でソ連は連合国入りしていたし、ポツダム宣言を即時受諾しなかったこと、41年の関東軍演習などで、その条約が存続できないことは十分知っていたはずだ。
沖縄や満蒙で多くの民間人を見棄て、樺太でも多くの犠牲を出したこのシステムは、本当に不愉快になる。
映画の話に戻すと、美術が木村威夫なのである。私は、当時の樺太の事情は全く分からないが、木村なら心血を注いだことと思う。