学生時代、小田原市に住んでいると言うと友人に「えっ⁈静岡から通っているの?」と驚かれたことがありました。それなりに名前の通った大学の学生なのに小田原市が神奈川県にあることを知らなかったのは困ったものです。 


 確かに、温暖な海に面した町のイメージは静岡県の熱海市に似たところがあります。熱海と同じく梅の名所でもありますし。


 元々小田原には縁もゆかりもなく、たまたま母が気に入ったので住むことになったと聞いています。


 戦前に建てられたらしい古い農家を改築した家を借りて住んでいましたが、海までは歩いて3分ほど、国道1号線沿いで、箱根駅伝の選手たちを家の窓から眺められる、何とも贅沢な場所でした。


 私の娘たちが幼い頃は夏には必ず帰省して、浜遊びをし、真鶴にある父のお墓参りに行くのが楽しみでした。


 母と姉が母の実家のある横浜に転居してしまってからは小田原に行くことも少なくなりました。両親のお墓参りのときに小田原駅で乗り換えをする程度です。私が通っていた高校も事実上の廃校になり、町の様子もだいぶ変わったようです。


 暮らしていた時間よりも離れていた時間のほうがずっと長くなりましたが、私にとっての故郷はやはり小田原しかないなぁと思っています。


 暖かくてのんびり穏やかで、歴史があり干物とかまぼこの美味しい素敵なところです。