目が覚めると、そこは1945年の日本。

初めて愛した人は、特攻隊でした。




そのフレーズに導かれて、映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」を、公開日に観た。


「特攻隊」とは、お国の為に、アメリカの戦艦に、自分が操縦する零戦で玉砕する特別攻撃隊のことである。


行きの燃料しか積んでなく、帰ることは無い片道切符の攻撃隊である。


1944年10月20日に編成された、神風特別攻撃隊が最初で、1945年になると多くの特攻隊が旅だった。




当時の日本では、決して抗うことのできない軍事命令であったが、歴史は、多くの悲しい結末を記録している。


そんな当時の常識に、異議を唱える主人公の加納百合を演じる福原遥。


そんな彼女の思いを知りながらも、軍人としてあり続ける佐久間彰を演じる水上恒司。




純粋過ぎる二人の気持ちが、痛いほどスクリーンに映し出される。




まだ、第二次世界大戦の軍事体験者や市民の生存者が多かった時代は、たぶん、描ききれなかったテーマであると思った。


こういう映画が、作ることができる時代になったことは、ある意味で平和で幸せな世界になったのだと感じた。


一方で、ウクライナとロシアの戦争、イスラエルとパレスチナの戦争、台湾有事の危機、北朝鮮のミサイル発射など、この時代だからこそ、この日本が主体者となった戦争を見つめることも大切だと思った。


たぶん、世界中の人類の大多数は、「戦争は悪」と知っている。

多くの人が、無駄に死んでしまう大悲劇と知っている。


じゃあ、何故、戦争が始まるのか…。


たぶん、自分達の内にある、ロゴスとパトス、理想と感情の矛盾、そして葛藤が、戦争に向かわせるのだと思う。


そんな人間の内在する矛盾や活動を、浄化するヒントが、こういう映画作品の中に、ひょっとしたら点在しているのかもしれない。