濱口竜介監督の初の短編集〜「偶然と想像」

驚きと戸惑いの映画体験が、心を鷲掴みにする。


2021年のカンヌ国際映画祭で、「ドライブ・マイ・カー」が脚本賞など4冠に輝き、第77回ベネチア国際映画祭では、共同脚本を手がけた「スパイの妻」が銀獅子賞、そして、「偶然と想像」は、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した。


今、世界が最も注目する監督が濱口竜介である。




今作では、「偶然」をテーマに、3つの物語が織り成される。




濱口監督の魅力の一つは、役者達の言葉や文脈の掛け合いである。


劇中劇を観ているように、リアルで緊張感溢れるセリフの掛け合いが、まるで引力のように、自分たちを映画に没入させていく。


1話目の「魔法」では、3人の会話が面白すぎる。




2話目の「扉は開けたままで」


濱口監督の恋愛の描写は、とてもエロチシズムに溢れ、渋川清彦と森郁月のセリフの間合いに存在する情感が、痛いほど伝わってくるのだ。




その後の歳月も、まさに観客に「想像」させる演出である。




3話目の「もう一度」


「偶然」を繰り返しながら、心の奥底にある本根を吐露していく。


監督の、テーマに挑む凄い試みであり、驚きを禁じ得なかった。


映画が好きな人、濱口監督が好きな人、感受性が強い人、人生を深く知りたい人には、この濱口竜介プレゼンツの「偶然と想像」を、是非、何度も味わって欲しい。


脚本の力、役者の力、演出の力を、存分に味わえると思う。



ムービーオンで上映中。

是非、お早目にご覧ください!