11月12日(金)、13日(土)、14日(日)の3日間、山形市のムービーオンにて開催された、第17回山形国際ムービーフェスティバル(YMF 2021)

今年も、日本中から多くの映画関係者が来場し、コロナ禍2年目にも関わらず、昨年以上の充実した内容となった。

ご来場いただいた皆さん、また、応募いただいた246作品の監督及びスタッフの皆さんには、心より感謝を申し上げる。



今年の目玉の1つは、招待作品として、審査委員長の村川透監督作品である「蘇る金狼」を、ムービーオンやまがたの大スクリーンに上映できたことである。

1979年に大ヒットした、松田優作さん主演のハードボイルド。

あれから、40年を超える時を経て、スクリーンで観られたことは幸せであった。



多くの村川監督のファンや、松田優作ファンが駆けつけて、会場はとても盛り上がる。


映画界の至宝であり、地元山形の誇りである村川監督の舞台挨拶は、40年前の作品同様に、色褪せず輝いていたのである。


多くの第一線の現役監督や、若手のノミネート監督は、村川監督の熱いメッセージに涙していた。




毎年、YMFの主役の1人である行定勲監督。


今年の招待作品、「アジア三面鏡2016」

3人の監督のオムニバス・コラボレーションだが、行定監督の作品は「鳩 Pigeon」

行定勲監督の原風景の中にある「鳩小屋」

故津川雅彦さんの熱演が印象的で、その息子役の長瀬正敏さんとの駆け引きが面白い。



「るろうに剣心」全5作が完結。

今回は、次回作の撮休の間に、山形まで駆けつけてくれた。

岩手県盛岡市出身の慶應ボーイ。
NHKを退社したが、直ぐに東日本大震災が起こる。

そんな中、作り上げた「るろうに剣心」

この10年で、大抒情詩が完結したのである。



驚いたのは、舞台挨拶の後だった。

ムービーオンのコリドールは、大友監督のファンで大混雑。

映画のスケールも格別だが、映画監督としての人気の高さも素晴らしい。



地元山形の映画「丸八やたら漬 Komian」

佐藤広一監督は、第1回山形国際ムービーフェスティバルで「銭湯夜曲」で審査員特別奨励賞を受賞し、翌年、スカラシップで「隠し砦の鉄平君」を製作したYMF出身監督。

1885年に創業された漬物屋「丸八やたら漬」を、1992年にお蔵を改装して開業した「食事処  香味庵」

2007年には、国の有形文化財に登録された街のシンボル的な存在だったが、廃業し建物は取り壊された。

山形の街の転換期を、フォーカスしたドキュメンタリー。



招待作品「アイリス」は、奥原浩志監督、小川洋子原作の公開を控えた話題の作品。

奥原監督は、「タイムレス・メロディ」で、ぴあフィルムフェスティバルでスカラシップを獲得し、釜山国際映画祭では最優秀グランプリに輝いた注目の監督である。

YMFアンバサダーの菜葉菜が、母親役を大熱演。

ロケーションがとても美しく、禁断のエロスの描写は心を掴む。



今年最後の招待作品は、清水崇監督の「樹海村」

ホラー映画の第一人者である清水監督は、2年前のYMFには「犬鳴村」の番宣で初参加。

「犬鳴村」の大ヒットから、あまり時間をおかずに「樹海村」が完成し公開された。



映画の中で使われた、「呪われたコトリバコ」を持っての舞台挨拶。

会場の方々とゲームをして、勝ち残った皆さんに、映画の曰く付きの品を渡していた。

そして、次回作の「牛首村」の30秒の番宣も、日本で初めて会場で流した。

村シリーズ3作目の「牛首村」
これまでで、最も恐ろしい映画となっている感じがした。



多くの映画がスクリーンで上映され、多くの映画関係者が来場した第17回山形国際ムービーフェスティバル。

フィナーレでの運営委員長の挨拶では、心からの感謝と御礼を申し上げる。



そして、例年のYMFの規模と話題が拡大するにつれ、ホスト側の自分たちも、もっと切磋琢磨して、精進していくことを誓った。

来年も、また来たいと思っていただく為に。



多くの奇跡が紡いだ、山形国際ムービーフェスティバル。

映画関係者の熱い願いと、映画を愛する民間の思いと熱量だけで、17回続けることができたことは奇跡である。

この魂の塊がある限り、雪深い東北・山形が、映画の聖地であり続けることができるのかもしれない。

来年は、どんな作品と出会えるのだろうか…。

また、来年、お会いしましょう。