自分が大好きな曲、桑田佳祐さんの「月光の聖者達〜ミスター・ムーンライト」

数年前に、桑田さんが大きな病に倒れた時、「あの頃を思い出して」そして「明日に希望を繋いで」作った曲なのだ。

その「再生」の曲が、この映画のエンディングにかかった時、鳥肌が立った。

自分と同じ歳の友人、瀬々敬久監督の想いが、胸のど真ん中に伝播してきたのである。



また、今作品の撮影・キャメラは、鍋島淳裕氏。
何度も山形に来られ、夜中まで語り合った素晴らしい映画人である。

これまでは見たことがなかった、主演の佐藤健のちょっとした表情を写し取っている。
さらには、幼い子どもの目線や仕草が、とても繊細に撮影されている。

鍋島氏は、「一瞬の眼差し」にフォーカスしたと語っている。



この物語の奥底に存在するものの始まりは、2011年3月11日。

罪を犯した人も、亡くなっていった人も、そして捜査する人も、多くの痛みや絶望を抱え、日常の中にいたのである。



あの東日本大震災で、貧しさは極限を超え、国も自治体のセーフティーネットも余裕がなくなり、ささくれ立つ心と生活。



貧しさは、一夜にして表情を変えていく。

それは、あの頃の思い出までも変えてしまう。



日本映画界の最高峰のキャストとスタッフが、東日本大地震から10年目の今年、珠玉の名作を生み出したのである。


今を生きる全ての人に、一筋の光を贈る衝撃と感動のヒューマンミステリー。


瀬々監督曰く、「この映画が問うていることは、僕らが生きている「今」の状況と密接に結びついている」


納得できた。

「護られなかった者たち」は過去の話ではなく、今の話でもあると感じた。


是非、2度見して欲しい映画である。


ムービーオンにて上映中!