約25年間、エヴァンゲリオンの物語を創ってきた庵野秀明氏。

彼の4年にわたる密着取材を遂行したNHK「プロフェッショナル」制作班は、見事な番組を作り放送した。

驚いたのは、あの庵野秀明氏が、4年もの間、カメラを向け続けられることを許したことである。

時には苛立ち、「俺を撮るな!」とか「このNHKの番組企画は中止!」と声を荒げる場面も放送されたが、最後は「シン・エヴァンゲリオン」の映画のように、大団円を迎えた力作となった。

きっと、密着取材を行ったNHKの女性プロデューサーも、庵野氏から気に入られた賜物であろう。



今回の分厚いパンフレットを開くと、「我々は三度、何を作ろうとしていたのか?」との自問自答のような文章から始まっていた。

空前の話題を呼んだ、テレビアニメシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」
しかし、最終回は突然やってきた。
制作が追いつかなかったとのこと。

最初は、それを踏まえて「総集編」的にスタートしたのが4部作の劇場版であったはずが、「序」の次の「破」からは少しずれ出し、「Q」ではテレビシリーズでも描かれてない14年後のシーンから始まることになったと鶴巻和哉監督は振り返る。

つまり、当初のエヴァンゲリオンの設計図とは、違う新しいエヴァンゲリオンの完結編を見事に創り上げたのである。



庵野氏は、自分と同じ61歳。

こんな方が、同じ時代を生きていてくれること自体が、とても嬉しい。

山口県宇部市の出身。
あの山に囲まれ電線がいっぱいある原風景が、随所に描かれている。

庵野氏は、完璧なモノよりも、欠けているモノに惹かれるという。
だから、主人公達は、どこかに弱さや葛藤がある。

欠けているから、愛おしい…NHKでも、そんな言葉を用いていた。



エヴァンゲリオンの素晴らしさの中で、自然はとても美しく描かれる。

どんなに文明が暴走して破綻しても、自然の生命力、地球の青さはしっかりと底辺にあるのだ。

だから、人間は生き続けていけるのだろう。



父と子の葛藤、自然と破壊、完璧と欠損、弱さと強さ、孤独と仲間、喜びと悲しみ…。

ただのアニメーションではなく、心理学の書籍のように感じるのだ。



入場者プレゼントのポストカードには、関係者が勢揃いしている。

すべてを終わらせる義務がある…庵野監督が言った言葉である。

最後は、ただただ感動したというか、ホッとした。
素晴らしいエンディングであった。



ムービーオンのシアター1は、日本でも数少ない16メートルの巨大スクリーン。

東北最大級である。

その大きなスクリーンで、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を心に刻んで欲しい。

圧巻である。

さらに、MX4Dは、まさにエヴァに乗っているようである。

是非、この機会に体験して欲しい。



パンフレットは、2冊1組。

1冊は、写真と出演者の声優の皆さんなどの思いが、たっぷり詰まっている。



そしてもう1冊は、グッズ専門誌である。


エヴァンゲリオンのフィギュアやグッズが満載である。



この機会に、日本アニメーションの珠玉の大作「シン・エヴァンゲリオン劇場版」から、多くの視点や考え方のヒントをゲットして欲しい。