2020年10月22日(木)、東北地区のケーブルテレビ17局で構成する東北ケーブルテレビネットワークと、NTT東日本と、衛星放送事業のスカパーJSATの3社による、新たなメディアの誕生の記者会見を行った。

3社による協業は、全国初となる。

東北ケーブルテレビネットワークでは、このサービスを「東北キャスト」として、東北各地区で展開する。

カバーエリアは、第一弾として、東北に住む370万世帯(約1000万人)の約30%にあたる104万世帯であり、東北では最も大きなメディアの集合体となる。



2010年に、全国のケーブルテレビ局では初めての取り組みとして、当時ケーブルテレビ山形(ダイバーシティメディアの前身)の専務であった自分は、「全国に張り巡らされているNTTの光ファイバーを活用して、ケーブルテレビの番組をお客様へ届けられないか?」と言う問いを、当時のNTT東の古賀副社長と井上常務(現NTT東社長)に投げかけた。

それまでのNTTの光回線では、通信はできても、放送はできない縛りがあった。

通信役務法の改正や、様々な改革の中で、光回線の有効活用が思考されている時期でもあり、その前年にはスカパーが光テレビをスタートさせていたのである。

2016年、日本ケーブルテレビ連盟の吉崎理事長が、連盟東北支部(当時の支部長は自分)の総会で、2018年の4K放送開始に向け、お客様への伝送路の確保を各社へ呼びかける。

2017年初頭に開催した東北ケーブルテレビネットワークの提携局会議で、東北のケーブルテレビ局の選択は、「ケーブル局独自の光ファイバーを増強して全県に広げていくか?」「NTTの光ファイバーを借り上げるか?」の、2択に収斂されていく。
もちろん、両方をやっても良いわけであるが、単一局でNTTと交渉するよりも、まとまってチームとして借り上げ交渉をスタートしたのであった。

2011年の東日本大震災以降の東北地区のケーブルテレビ局の纏まりは凄く、「東北はひとつ」をスローガンに、「分甘共苦」の喜びを分け苦しみを共にすると言う思想が芽生えたのである。



2019年春、2020年開催予定の東京オリンピックを目指して、4K放送の本格スタートと、ケーブルテレビ局を通しての全国展開を、関係者は熱望したのである。

今年の3月の総務省データを見ると、全国総世帯数5907万世帯中、ケーブルテレビ加入世帯は3091万世帯であり、普及率は52.3%である。

過半数の人々が、ケーブルテレビを視聴しているのだ。



一般論として、これまでは、ケーブルテレビ局からすれば、NTTとは通信分野・インターネット加入営業で競合ライバルであり、スカパーとは専門チャンネル多チャンネルで競合ライバルであった。

手を組むなどとは、ほとんど考えられなかった。

しかし、自分は10年前から、「東北の山奥までケーブルテレビ局が独自の光ファイバーを敷設できる資金力はない!それぞれの県内全てに「4K放送」「地域情報のコミニュティチャンネル」「NetflixやHuluやAmazon」の3点セットを見せるためには、最高の枠組みである。」と話してきている。

つまり、提供する会社側の都合ではなく、「お客様目線」「お客様ファースト」に由来する3社の協業なのである。

DXデジタルトランスフォーメーションとは手段であり、お客様ファーストという成果、つまりoutcomeがキチンと担保されなければならないのである。



会場には、全国から20を超える報道関係者がお集まりいただいた。

放送と通信、そして4K…このスタイルが、コロナ禍の中での、新たな生活様式に合致するものであることは言うまでも無い。

買い物難民や情報難民と言われる東北地区、特に高齢者の情報源は、スマホでもパソコンでもなく、やはりテレビなのだ。



前例には、東北ケーブルテレビネットワーク社長の自分と、NTT東日本の滝澤正宏取締役、スカパーJSAT古屋金哉常務。

後列には、岩手ケーブルテレビジョンの阿部新一社長、ニューデジタルケーブルの中野雄一社長、宮城ケーブルテレビの加藤雄一常務、ダイバーシティメディアの吉田淳一常務が並んだ。




やっとスタートライン。
物語は始まったばかりである。

この連携は、さらに広まっていくだろう。
すでに、他のケーブルテレビ局から申し込みがあり、NTT東日本との議題に挙げている。



それぞれの良いところを、それぞれの強みを、重ね合うことで、魅力は何倍にも膨らむと思う。

やれる事も、画期的に増えるのである。

東北全域放送や、目玉の東北プレミアポータルサイトも企画している。


 
家に居ながらにして、テレビやインターネットを楽しむ他に、買い物ができたりリモート診療ができたり、そんな生活の支えをしていきたい。



3本の矢が、雪深い東北を、次世代の主力メディアになるかは、これからが正念場である。

酒田市、鶴岡市、東根市、新庄市、村山市…山形県の新サービスエリアである。

最も最先端の情報化のサービスを、是非、ご家庭まで引き寄せて欲しい。



記者会見が終了した後の、3社に対する取材は、約1時間続いたのであった。

ここまで辿り着けたのは、多くの関係者の皆さんのお陰であり、心より感謝と御礼を申し上げる。



(翌日の山形新聞より)
多くのメディアで取り上げていただきました。