こんなに心に響く試合は、しばらくぶりだった。

B2西地区トップを走る広島ドラゴンフライズに対して、最後まで食い下がった山形ワイヴァンズ。



前半は、広島48点、山形31点、広島17点のリードであった。
後半は、広島36点、山形51点、山形が15点を追い上げる。

それどころか、最終クォーター残り44秒で、山形は2点リードしており、勝利が目の前にあったのだ。

しかし、後半のミスや、詰めの甘さが、広島ドラゴンフライズに付け入る隙を与えてしまい、勝利を手にすることができなかった。


古橋広樹選手は、自分のミスに涙が止まらない。

今日の試合は、19得点、4アシストの大活躍。
全力で勝ちにこだわった分、悔しさが溢れたのであろう。



前半は広島の激しいディフェンスとオフェンスに煽られ、広島ペースで進んだ。

前回の広島戦同様、また大差をつけられるかな…と思った。



インジュアリーリストから再登録のチュクディエベレ・マドゥアバムは、この日やっと戻ってきた。

まだまだ試合感覚は戻っていないようだが、一生懸命チームに貢献しようと必死であった。



Gゴロマンも、まだ体力が本調子ではなく、チームに合流した当初より、体が動けていない。



しかし後半、流れが変わる。

広島ドラゴンフライズの堀田ヘッドコーチが、試合後コメントしていた…「山形さんの気迫がエネルギーとなってプレーに出ていた。」の言葉通りである。



第3クォーターに入ってから、選手たちが、前半の大量ビハインドを追い上げようと、諦めずに必死に戦っていた。

古橋のシュート、岡本のスチール、和田のアシスト、涙が出そうになった。

彼らの気迫のこもったプレーに、感動したのだ。
勝ち負けではなく、シュート、アシスト、スチールなどなど、ワンプレーに強さを感じた。

そして、チームがひとつになっていた。

手前味噌に感じるかもしれないが、惹きつけられる「勝ちたい!」という気持ちがプレーに表れていたのであった。



いつの間にか、追いつき逆転。

西地区トップの広島相手のこの猛追は、圧巻であった。



残り44秒までは、ワイヴァンズが勝っていた。

結果は、広島ドラゴンフライズが84点、山形ワイヴァンズが82点である。

惜しく悔やまれる。



東島は「選手を勝たせることができなかった。僕の責任です。」と頭を垂れた。



会場からの声援や拍手は、とてもありがたかった。

試合後の記者会見で、古橋広樹選手は語った。

「今日の試合で、これからの試合、勝っていける希望を見つけた。」

そう、ここから、山形ワイヴァンズの本当の戦いが始まると信じたい。