パスラボ山形ワイヴァンズの、新ヘッドコーチに就任した東島奨。

彼の想い溢れる勝利インタビューを聞いた時、このチームの社長に就任して、初めて涙が溢れそうになった。



今シーズン、予想もしなかった山形ワイヴァンズの10連敗。

11月10日(日)の香川ファイブアロー戦で一矢を報い、ここから持ち直していけると思った広島ドラゴンフライズと愛媛オレンジバイキングスとのアウェー遠征4連戦。

4連敗。
それも、100点ゲームで負けたのが4試合中3試合であった。


B2東地区で最下位。
全18チームでも、越谷と同率の最下位。


11月24日のフロントミーティング。
11月25日のパスラボ取締役会。
河合ヘッドコーチを含む話し合い。
チームスタッフミーティングなどを続ける。

誰もが、負けようとして負ける訳ではなく、勝とうとして負けてるだけに、問題や原因がどこにあるのかが見えずらくなる。

B3降格も現実味の中、先が見え無い不安は混沌を招く。

会議やミーティングは、熱を帯びていったのだ。

負け続けることは、「誰かのせい」になりやすいし、全ての話が悪い方向になりがちである。



しかし、12月1日に約5時間に及ぶ選手ミーティングで感じたことは、全選手の「勝ちたい!」という熱い思い。
そして、チームスタッフの泥臭くても「勝とう!」という強い気持ちであった。

その日、「這いあがれ!」を全員の合言葉としたのである。



10連敗している間も、変わらずに応援に来てくれるファンの皆さん、アウェーまで帯同してくれて声を枯らし涙ながらに応援してくれたブースターの方々の思いが、ビンビン伝わってきていた。

当然クレームやご叱責の意見も、真摯に受け止めたいと思った。

ブースターWYLBの幹部とミーティングも持たせてもらう。

実に多くの方々から、再起の声、再生の声など、応援と叱咤激励の声を頂いたのである。



アメリカに7年留学して、バスケットを学んできた東島氏。
滞在中にMBAも修得している。

日本大学バスケット部時代は、あのトヨタアルバルクの山形出身の菊池祥平選手と同じ部屋で暮らしていたチームメイト。

河合前ヘッドコーチの下、アシスタントコーチを経験し、山形に誘われただけに、「河合ヘッドコーチ退任」は、様々な葛藤があったと思う。

最後に背中を押してくれたのは河合前ヘッドコーチだった。


「竜児さんの分まで、がんばります!」
「ワイヴァンズを、絶対B3には落とせません!」
そして、もう一度原点に戻って、「ONE TEAM」「チーム バスケット」を目指すとのことであった。



東京サンレーヴスのヘッドコーチだった岡田修氏が、アシスタントコーチに就任。

若いチームスタッフで戦いを挑む。



そして臨んだ強豪の熊本ヴォルターズ戦。
簡単に勝てる相手ではない。



東島ヘッドコーチの初陣は、82対89で惜敗だった。

しかし、そこにいたほとんどの人々が、シーズン当初の山形ワイヴァンズが追っていた「チームバスケット」の片鱗を感じたのである。

何より、選手たちがイキイキしていた。
復活の兆しを感じたのである。



そして、12月8日(日)、昨日以上にチーム全体のディフェンス力が更にアップし、試合を通して、ほとんどの時間帯で、熊本ヴォルターズをリードしていた。



何度負けても応援に来てくださった1800人を超えるファンやブースターの皆さん。

試合が進むにつれ、選手、チームスタッフと、一体となっていく。

いつしか、会場全体が「ONE TEAM」になっていたのだ。



山形ワイヴァンズ77点、熊本ヴォルターズ72点。

山形ワイヴァンズの勝利である。


自分は、前回勝った香川戦の時にはYMF山形国際ムービーフェスティバルの開会中で会場にいなかった。
実に16試合ぶりの勝利を現場で味わったのである。



試合後、会場の至る所で、喜びが溢れていた。

自分も、心からの喜びと、心からの感謝でいっぱいであった。



出産や子育てのお母さん方へ、そして、児童虐待だと思ったら…3桁ダイヤル「189」へ。

今節は、オレンジリボン・キャンペーンデーであった。

イベントに参加下さった方々へ、感謝申し上げる。



そして、チアアカデミーの皆さん、大パフォーマンスをありがとう。



「山形ワイヴァンズと熊本ヴォルターズの試合を観たかった」と、昨シーズンまでワイヴァンズに所属していた高濱拓矢選手が挨拶に来てくれた。

とても好青年で、ナイスガイは変わらなかった。

スクールコーチの話や、3×3に参加する話など、これからの選択があるそうだが、「スクールコーチなら、是非、山形ワイヴァンズはオファーするよ!」と話す。

高濱選手のご活躍を期待したい。



この二日間、会場で感じたことは、ワイヴァンズと繋がっている多くの皆さんへ、ワイヴァンズを応援する喜びを感じていただけるチームを作っていかなければならないということ。

そして、何よりも、「勝つチーム」であり続けなければならないと、改めて痛感したのである。