原作・かわぐちかいじの初実写映画化、「機動警察パトレイバー」の伊藤和典が脚本、「ホワイトアウト」「沈まぬ太陽」の若松節朗が監督という、大ヒットを生み出すパーツが全て揃った、本格的な大作の座組である。



俳優陣も、第5護衛艦隊所属は、西島秀俊、佐々木蔵之介、藤竜也、市原隼人、玉木宏、高嶋政宏、村上淳。

政府関係者に、佐藤浩市、吉田栄作、益岡徹など。

ジャーナリストや民間人として、本田翼、さきとうゆき、小倉久寛、中井貴一、深川麻衣。

とにかく、豪華過ぎるキャストである。
大作ならではの、物語が進むにつれて、その役者達が醸し出す様々な匂いを感じることができるのだ。



映画「空母いぶき」は、エンターテイメントの面白さの前に、その背景に日本の安全保障のルールやレギュレーションがある。

そのリアルさが、なおさら物語を面白くし、登場人物の「防衛」に対する考え方や価値観が、見え隠れするのだ。

そこが、素晴らしい映画である。
「自衛隊の在り方」について、ある意味で、ドキュメントより分かりやすい。



「本日未明、国籍不明の漁船20隻が我が国の領海内に侵入」

この一報で、首相官邸に内閣総理大臣や各閣僚達が慌ただしく集まる。

急行した、海上保安庁の巡視船「くろしま」からの連絡が途絶える。

漁民を装った武装勢力は、海上保安官達を拘束し、日本の領土初島を占拠する。

総理は海上警備行動を発令、戦後初の航空機搭載型護衛艦「いぶき」を旗艦として、護衛艦と潜水艦を出動させる。



本気の戦闘を仕掛けてくる無国籍の武装戦力。

日本の自衛隊は、戦後守ってきた「専守防衛」のルールの中、何を超え何を守るのか?

日本の運命を決める24時間が始まる。



たまたま「いぶき」に乗船していた、記者の2人。

彼らが見たものは…。



それぞれの戦いが始まる。

この映画を観て、強く感じたことは、「責任との戦い」「使命との戦い」は「自分との戦い」に繋がっていくということ。

久しぶり、心から、満足できた日本映画である。


ちなみに、佐藤浩市さんと自分は同じ歳。
映画の中でだが、頑張っている姿に元気をもらえたのであった…。


ムービーオンの大画面で、是非、観て欲しい映画である!