「シリーズ累計680万部突破の大ベストセラー小説が、完全映画化!」
本がつなぐ「過去」と「今」、心揺さぶる感動ミステリー
主演・黒木華、野村周平。
監督、三島有紀子。



原作を知らなかったので、映画との出会いがとても新鮮だった。

映画のシーンやカットの映像を見ているはずなのに、いつしか視覚と聴覚がミックスされ、映像と文学、シークエンスとコンテクストがシンクロして心に入ってくる。

そんな、素敵な映画に仕上がっている。



黒木華の朗読の場面や、語り口調が、とても役柄と合致しており、彼女ならではの魅力が、映画の主旋律を奏でている。



野村周平の真っ直ぐな演技も、黒木華とは正反対の役柄として、物語を膨らませている。



1964年、敗戦国から抜け出す為の国家戦略として、未来をかけた東京オリンピックの開催。

まだ復興途上にある日本国民の興奮ど真ん中で、新たな文明の黎明期ともいえる時代の多くの文豪たちの名作が、次々と復刻していった時期でもあった。

表現者の抑圧からの解放が、戦後日本の自由を開花させていく。



鎌倉の片隅に佇む古書店「ビブリア古書堂」

野村周平が演じる五浦大輔が持ち込んだ、夏目漱石の「それから」という一冊の本に記されたサインの真偽を確かめる事から、物語が始まっていく。



自分も本が大好きで、出てくる本はほとんど読んでいる。

夏目漱石の「それから」
太宰治の「晩年」「人間失格」
芥川龍之介「地獄変」
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」など。

黒木華が朗読すると、まるで違った物語のように聴き入ってしまう。



三島有紀子作品の中では、最も心に伝わる映画であると思った。

何より、出演した黒木華、野村周平、東出昌大、夏帆の熱演が、心に響いた。



カツ丼が映画のシーンに出てくる。
グリーンピースがオリジナルであるが、いつしかすっぱい梅干が上がっていた。



公開日の翌日の昼食。
自分は出前でカツ丼を注文した。
梅干を乗せて食べてみる。

なかなか良いマッチングであった。

丁寧な撮影と編集により、とても綺麗なシーンが多い映画である。

是非、映像の文学に、触れていただきたい。

きっと心に沁みる映画になるはず…。

ムービーオンやまがたで、上映中☆