10年の歳月をかけて、書き下ろした初めての小説「ひとりぼっちじゃない」


映画の脚本家としては、数々の実績を残している伊藤ちひろ。



あの2004年公開の、行定勲監督作品「世界の中心で愛をさけぶ」の脚本を書いたのが、彼女が20歳の時である。


「春の雪」「遠くの空に消えた」「クローズド・ノート」「スカイ・クロラ」「今度は愛妻家」「女たちは二度遊ぶ」「パーティーは終わった」「つやの夜」「真夜中の五分前」「ナラタージュ」

そして、自分はとっても「伊藤ちひろらしい作品」と思っている「ショコラの見た世界」

すべて彼女の作品である。



伊藤ちひろさんとの出会いは、シネマコンプレックス・ムービーオン山形がオープンした2008年頃で、彼女が26歳くらい。
YMF山形国際ムービーフェスティバルにご招待した時と記憶している。
行定監督から紹介された。

「こんな若いのに、ちゃんと相手の心や、その場を取り巻く空間や時間の流れを、分かっている女性がいるんだ!」というのが、彼女の最初の印象であり、正直驚いた。

この時から、自分は「天才チヒ」と呼んでいるし、皆んなに紹介している。



彼女の才能は、様々な映画の作品からも読み取れるが、むしろ普段の会話や、彼女が考えにふけっている姿や、笑っている輝きからも伺えるのである。


小説を書きはじめた頃、昔からの夢をもう一度追えることに、とても喜んでいたの忘れられない。



執筆期間10年の間、何度も山形に来たが、YMFの最終日に、執筆が遅れているとのことで、ムービーオンの社長室をお貸しした事もあった。



そんな思い出があるあるので、この度の山形訪問と、彼女が「直接吉村さんへ渡したかった!」という本の重さは、まさに「夢の重さ」に感じたのである。
感激した。



2018年8月31日の初版発刊に合わせ、9月5日(水)に山形に入った伊藤ちひろさん。

翌日の9月6日(木)は、八文字屋さん、小松書店さんにご挨拶に伺う。



八文字屋さん。


小松書店さん。

本当に、急なお願いを聞いていただき、感謝申し上げる。



今、街中では、この伊藤ちひろ初作品「ひとりぼっちじゃない」を手にとる方が多い。


自分と同じ様に、あの切なくも温かいセリフを作り出す彼女が、どんな小説を書いてくれたのか…興味があるのだ。

そして、読み終えると…。


平凡であるように見えて不可解な日常。
歪んでいく人間関係、それでも生きていく意慾。

コミュニケーション障害の男性歯科医の歪んだ日常と、狂気の恋情。
伊藤ちひろが書き下ろした渾身の一作が「ひとりぼっちじゃない」である。



まだ、伊藤ちひろは、30代半ば。
どんな未来を描いているのだろう!


この作品を読みながら、彼女の才能が、さらに研ぎすまれていく喜びも感じた。

伊藤ちひろ、新たなる旅立ち…。

彼女の物語は、始まったばかりである。