第71回カンヌ国際映画祭で、パルムドールを受賞した、是枝監督作品「万引き家族」

公開してから時間が経っているが、未だに話題作である。



「そして父になる」「海街 diary」「海よりもまだ深く」は、カンヌに出品している。

そして、今回、満を持しての最高賞の受賞となった。

ずっと家族をテーマに描き続けてきた是枝監督。

今回は、家族を超えた絆を描いた。

さらに、出演者の個性や才能を、ここまで引き出すことが、評価につながったのであろう。

それは、観にきている方にはリピーターが多いことも挙げられる。



安藤サクラの演技は、ヤン・ヨンヒ監督の「かぞくのくに」でのリアルな演技が話題になり、武正晴監督の「百円の恋」では、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。

押しも押されもしない大女優の仲間入り。

その彼女の、「母親」の愛情とは何なのか?
母性と女性を混ぜ合わせたようなリアルな女性感覚を、観客へしっかり手渡してくれる。



リリー・フランキーは、ダメな父親と、愛されたいし愛したいと言う父親の気質を、しっかり表現していて素晴らしかった。

彼ならではの、多彩な能力が、ベタにならないのが素晴らしい。



天才的な女優・樹木希林。
人間は年をとると、とんでもない顔になるんだということを表現したいと思ったという。

多くの是枝映画に出ており、「家族」を、様々な視点から演じている。



城桧吏くんと、佐々木みゆちゃん。

とにかく、自然に普通に演じていた。
最も難しいことなのに…。

将来が、とても楽しみである。



「ハリネズミジレンマ」…という、精神分析や心理学の臨床の現場で使う言葉がある。

ハリネズミの家族。
暖を取りたくて近くによりすぎると、おたがいの針でケガをして血が出る。
離れれば寒くて凍え死ぬ。

より過ぎればケガを、離れれば凍え死ぬ。

その加減、その塩梅が難しい。

自立と依存。
自分の世界と家族の安定性。
この両価性…アンビバレンスが、家族の話にはついて回る。



ある意味、世界の最高峰に立った是枝裕和監督。

原案、監督、脚本、編集まで、すべてを手がけた是枝監督の世界観。

たっぷり、そのエッセンスに触れてほしい。

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