この季節、東北の山形にも夏の香りが風に乗ってくる。


庭の草花も、太陽の光をいっぱい浴びて、今という時に命を重ねる。

その輝きを、自分達は遠い昔に忘れてたきたような気がする。

この時期、いつもそう思う。


あの頃、時は永遠だと信じていた。

自分達が時代を創るんだと確信していた。

誰もが夢を掴めると願っていた。

愛することは愛されることと同じだった。

世界は自分達を中心に動いていると信じていた。

…自信過剰。
次に訪れる自信喪失。

そのの繰り返しの20代。

揺れる心の狭間に物語があった。



夏の香りを風が運んでくる季節…いつもそんな時代を思い出す。

ただ、メランコリックやノスタルジックに思い出すのではない。

物語のはじまりを感じるのである。

どこかに置き忘れたトキメキ…心の奥底に眠っている情熱。

夏の香りは、それを呼び起こすのである。


新緑の初夏…物語は始まったばかりである。