VMware HAに、「ホスト隔離時の対応」という設定パラメータがあります。
管理ネットワークの切断など、ホスト隔離が発生したと判断されると、このパラメータで指定された処理を仮想マシンに対して行います。
設定可能なパラメータは、以下の3種類です。
①パワーオフ
②シャットダウン
③パワーオンのまま
なぜ今回のエントリーでこのパラメータを取り上げたかというと、vSphere 4.0 と vSphere 5.0 で、このパラメータのデフォルト値が異なるからです。
それぞれのデフォルト値は、以下のとおりです。
vSphere 4.0 : 「シャットダウン」
vSphere 5.0 : 「パワーオンのまま」
実はこのパラメータは、vSphereのバージョンが変わるたびに、デフォルト値がころころ変わっています。
なので、新たに提供されたvSphere 5.0でデフォルト値が変わっている点についても、「またか・・・」という感じがします。
なお、上記のデフォルト値は新規に作成したHAクラスターに設定されます。
既存のHAクラスターに含まれているESXやvCenterをアップグレードした場合は、すでに設定されているパラメーターが適用されます。(当たり前ですが。。。)
なぜvSphere 5.0でデフォルト値が変わったか、という点については、明確な理由はないようです。
書籍「vSphere 5.0 Clustering Technical Deep Dive」によると、『多くのCustomerから「パワーオンのまま」という設定の方がよいというフィードバックがあったから』、という理由が書かれています。
個人的には、「シャットダウン」でも「パワーオンのまま」でも、それほど大差はないと考えています。
あえて違いを挙げるとすれば、「何らかの理由で管理ネットワークが切断されているが、共有ストレージへのアクセスや仮想マシンが使用するネットワークには影響がない」という場合のみ、挙動が少し異なります。
この場合、「シャットダウン」に設定している場合はVMのシャットダウンが発生し、他のESXホストでVMの再起動が発生します。
「パワーオンのまま」の場合は、VMの再起動は発生せず、VMのダウンタイムを回避できます。(共有ストレージへのアクセスができるためVMDKファイルがロックされており、再起動ができないからです。)
なお、ESXの旧バージョンでは、iSCSIやNFSでストレージ装置に接続しており、かつ「パワーオンのまま」を設定している場合は、Split-brainが発生するという問題があったようですが、今は回避できるようになっています。
しかしながら、VMware HAによって保護する障害内容としては「ESXホストの全面ダウン」を真っ先に想定するでしょう。
このような障害の場合は、どちらもVMの再起動が発生します。
VMware HAはかなり奥が深い機能であり、かつトラブルが発生しやすい部分でもあるので、vSphere 5.0のVMware HAについては、時間を見つけて把握しておきたいです。