2022-08-02 配信分
こんにちは、下山です。
先週7月26・27日両日で
今年5回目となるFOMCが開催されました。
FOMCとは、
世界の金融市場に影響を与える
アメリカの中央銀行による金融政策会議で、
政策金利の決定などがこの会議で行われ、
会議終了後の政策発表や
FRB議長による記者会見が行われます。
FRBによる金融政策の内容は、
株式、外為、債権、先物など
多くの金融市場に大きな影響を与えます。
今期のFOMCでは、
10%に届きそうなアメリカで高まるインフレ率が懸念され、
75ベーシスポイントの大幅な引き上げとなりました。
投資のセオリーとしては、
政策金利の引き上げはリスクアセットである
株式市場からの資金投資に繋がるため
基本的に株式相場は下落します。
しかし、今回はFOMC翌日のダウ平均株価が
前営業日比436ドル05セント高の
3万2,197ドル59セント
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の上げ幅が
470ポイント近くに達し、
上昇率で4%を超え、今年最大となるなど大幅な上昇をしています。
また、日経平均株価も連れ高となり
8月1日の終値は前営業日比191円71銭高の
2万7,993円35銭
と上昇しています。
このような動きは
特に株取引の初心者観点では
教科書通りにならない動きに見えますが
その要因として一体何があったのでしょうか?
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今回のFOMC後の会見内容
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アメリカの中央銀行である
FRB(米連邦準備制度理事会)は
今年に入り急速に高まる
インフレ率を抑えるために
3月のFOMCから
度々、政策金利の引き上げを実行しています。
今回の7月の利上げにより
フェデラルファンド(FF)金利の
誘導目標レンジは3月からの合計で
2.25-2.5%となっています。
6月の前会合と合わせると
利上げ幅は1.5ポイントとなり、
これは1980年代初め以来の
大幅利上げとなります。
これだけの利上げを行えば
株式市場には大きなネガティブ影響がでますが
今回は、どのような影響がでたのでしょうか?
次に、今回のFOMCの金融市場への影響
について解説します。
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今回のFOMCの金融市場への影響
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今回のFOMCでは、
前述したようにダウ平均株価も
ナスダック総合株価指数も
記録的な上昇をしました。
その要因としては、
FOMC終了後に開かれる
パウエルFRB議長の記者会見で、
「この先のある時点で
利上げ速度を緩めることが適切だろう」
などの発言があったことを受けて、
今後の利上げ見通しを
下方修正する見方が広がった点にあります。
つまり、今回の75ベーシスポイントの金利の引き上げに関しては
FOMC開催以前より「織り込み済み」であったため
政策金利の引き上げによる影響は出ず、
今後のFRBの方針を「ハト派」と捉えた市場の動きが
急速に出たと言えます。
では、今後もこの勢いで上昇するかというと
実際に過去を振り返ってみると
FOMC当日の株高は持続性に乏しい事が多いです。
実際にあるエコノミストによると
S’P500種株価指数が1%以上上昇した場合、
次の日は平均0.3%下落する事が多く、
次のFOMCまでの平均騰落率を比較すると、
当日の上昇率が1%を上回った時が最も悪いという
結果もあるようです。
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次のFOMCまでの留意点
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今後、株取引を行う上で大切になってくる点としては
どのような点となるでしょうか?
それは、パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で発言した
「次の会合で異例に大幅な利上げを
もう一度行うことも適切となり得るが、
判断は今から次回会合までのデータ次第だ」
と述べた点が参考となるでしょう。
大幅な利上げとは、再び75ベーシスポイントの
利上げをすることを意味し、
データとはインフレ率のデータと
雇用統計や失業率などの労働市場に関する
データの事を指します。
今後も引き続きこれらのデータを中心に
政策金利の動向を
織り込んでいくとみられるためインフレ率と労働市場に関するデータに関しては
細心の注意を払うと良いでしょう。
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まとめ
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次のFOMCは、約50日後の
9月20日・21日に開催される予定です。
それまで少し時間はありますが、
インフレ率と労働市場に関するデータ
そしてそれらの指標に影響を与える
ニュースなどにも
注目してみても面白いかもしれません。
ただし、基本的には
「上がるだろう・下がるだろう」
ではなく
「上がるだろうけども下がるかもしれない」
「下がるだろうけども上がるかもしれない」
といった
「かもしれない取引」
を心がけることを忘れないようにしてください。
何を措いてもまずは「ポジションバランス」
に気を付けてください。
それでは、本日も最後までご覧いただき、
ありがとうございました。
下山敬三
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