時刻表復刻版-戦前・戦中編6レビュー-昭和19年12月号 | 停車場遍路の鉄道雑記帳(副)

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画像・動画を含む鉄道趣味のブログです。ときどき戯言を書いてます。ー[2013年2月9日以前の記事はほとんどの画像が表示されません]ー

第二十巻第十一號で通算235号となります。発行元名がまた変わって東亜交通公社となっています。

前の記事の昭和17年11月号が通算212号なので、その後発行されていない月があります。さらに表紙に5號とあり意味不明です。

サイズは縦208mm、横148mmなのでA5版ですが、戦局が厳しくなって広告共々一気にページ数が減り定価55銭に値上がりしました。

唯一の広告は表紙の裏側の郵便貯金のもので、軍艦・戦闘機のシルエットに「断じて勝とう!戦費を殖やそう!」がキャッチコピー。

内容は翌年20年の1月25日改正のダイヤを反映してますが、改正されていない線区も多いです。

索引地図にはまだ支那・満州・朝鮮・台湾の鉄道路線図があり、本文に列車も掲載されています。東京-九州の延長として外地連絡時刻表が復活するも、連絡船の時刻は掲載は無し。

樺太:依然としてほぼ全駅掲載。

満州:特急「あじあ号」の掲載なし。

台湾:西海岸が南へ枋寮まで延伸

戦時買収私鉄がどんどん国有化されると共に、不要不急路線はバス代行・運休しています。

索引路線図から手宮線・興浜南北線・有馬線が消えている

岩国-櫛ケ浜は柳井線経由が山陽本線になったため、これまでの短絡ルートが岩徳線となった。

札沼線:石狩当別-石狩沼田が不要不急路線として営業休止しバス路線化されている
千歳線:1926年(大正15年)8月に北海道鉄道として全通していた。全線国有化済み
富内線:富内まで開通済み
胆振線:全通済み
松前線:福山線として渡島吉岡まで開通済み
岩泉線:茂市-岩手和井内が開通済み
東北本線:(当時の塩釜線の)陸前山王-品井沼(海線)開業
仙石線:全線国有化済み
飯山線:全線国有化済み
青梅線:氷川まで延伸・国有化済み
五日市線:国有化後に立川-拝島は休止
南武線:全線国有化済み
鶴見線:新芝浦-海芝浦旅客営業開始後に全線国有化済み
富山港線:全線国有化済み
清水港線:全通済み
飯田線:全線国有化済み
東海道本線:大垣-関ヶ原下り迂回線・新垂井駅開業済み
阪和線:全線国有化済み
吉備線:全線中国鉄道を国有化
津山線:中国鉄道区間を国有化して全通済み
宇部線・小野田線:民鉄を国有化するも、二箇所で未開通(本山支線は既に存在)
予讃線:北宇和島-卯之町が開業済み、残る未開業区間は八幡浜-卯之町
日田彦山線:東小倉-添田の小倉鉄道が国有化され未開通区間は彦山-宝珠山となった
後藤寺線・糸田線:一部区間は産業セメント鉄道であり、これを買収して全通済み
松浦線(現:松浦鉄道)は未開通部が接続はしたが、現存のルートではない。

常磐線経由上野-青森急行に「当分の間運転休止」の記載あり

省線以外では名鉄が昭和19年9月に豊橋-新岐阜が全通しているのに盛り込まれず、1月1日現在の分断された状態のままです。

鉄道営業案内は三頁で省線の三等及び定期の対キロ表が復活した。

三等の初乗りは前の記事の号とおなじ10銭だが、100kmだと2円だったのが2円80銭に値上がりしている。

名古屋市電に軍人割引(一般は片道10銭、軍人は往復10銭)の料金設定がある。

昭和19年7月のサイパン陥落により日本全土が爆撃可能になったためか、裏表紙に空襲時に備えて「旅行防空心得」が載っている。内容は割愛するが標語的に下欄外に「防空服装で食糧非常用品携行」とある。