ともかく空港アクセス鉄道が二重系になっているのはありがたい。今時は車内のディスプレイで運行状況がわかるからモノレールに殺到するだろう。なんとかその兆候が現れる前に乗り込んで「羽田空港第2ビル」着。
ホームにあるANAの出発案内を見たら乗るべき637便は記事欄に「視界不良のため16:10の天候調査で判断」と出ていた。ともかく判断を待たないと仕方がないので出発ロビーへ上がる。
天候調査の判断は「欠航」であった。岩国行きはこの後に最終の639便があるが「19:20の天候調査」である。3時間近く待つのも辛いが、その挙句「欠航」だと立ち直れない。
西日本の小さい空港は軒並みアウトだが広島はILS(計器着陸装置)で降りられるし、状況が状況だけに広島便への振り換えも出来るようだ。でも、このフライトの目的は「岩国空港に降りること」である。
(なお、旅から戻って調べたら岩国もILSがある。そもそも軍用空港だから当たり前だが、民間機は使えないのだろうか。)
悩んでいるうちに(まだ17時前なのに)最終便も「欠航」になった。ならば腹を決めて明日の朝一の便にするしかない。キャンセル対応カウンターは最初のうちはそこそこ流れていたが私の2人前でピタリと止まり20分動きなし。係員が増員されるわけでもなくストレスが極限に達する。
無事に振替手続きを済ませて一息する間もなく今晩の宿を探さないといけない。空港近くはあまりに宿泊費が高額なので蒲田で探す。京急はダイヤが乱れたままだが蒲田までなら余計な時間はかからず行けるだろう。
羽田の案内所で「JRの駅付近なら宿があります」と聞いたので京急蒲田から歩く。蒲田ならカプセルもありそうだがさすがに3泊目はしんどいのでビジネスホテルにした。
おりしも土曜日でビジネスホテルとしては客が減るらしくサービス料金が出ているところにした。でも6400円は私の中では無駄遣いの方である。ともあれほっとしたので連泊するはずの広島の宿の今日の宿泊をキャンセル。
せっかくの個室なのになぜか寝つきが悪く、隣室から聞こえてくる中国語も気になって寝不足の4月9日の朝を迎えた。
それにしては気がまわって、今予約してある6:55発の便だって飛ぶ保証はないのでネットで調べてみたら、またまた天候調査中だった。でも6:10に決定では空港に行っておくべきだろう。
京急蒲田駅西の富士そばで朝食、快特で羽田へ。ホームの出発案内もやはり「天候調査」である。ロビーで待つと先に出る他の方面の便が続々と「条件付き出発」に決定している。戻るかダイバートかである。
そして、私の乗る631便も「福岡にダイバートか羽田に戻る」でチェックイン受付を開始した。迷っていてもしょうがないので保安検査を抜けてしまう。
待ち合わせ中に条件が解除されることも無く搭乗時間を迎えた。定刻にプッシュバックされ、誘導路をトコトコ順調に進む。海の上に作ったD滑走路から飛ぶんだなとわかった頃、なぜか飛ばずに待っている一機が前方に見えてきて、乗った機はその後ろに並んだ。
吹き流しを見るとどうやら追い風が強いらしい。案の定その旨のアナウンスが入る。岩国に着けるかどうかすらわからないから遅れを気にしてもしょうがないがイライラする。3分も待機せず無事に離陸した、雲の上に出てしまえば日差しが眩しい。
条件付きだろうと機内サービスは粛々と行われる。ドリンク一杯が差異ならLCCを選ぶが岩国はANAしかない。ただ、最近は旅割とかバーゲン運賃もあるし、何より私はマイルで乗っている。以前にも書いたが私は丘マイラーである。
「今日は機長の挨拶は無いのか」と思い始めたころ、「着陸の可能性が無くはないので岩国空港(への着陸ルート)へ進入を開始します。途中で着陸を取りやめた場合は上空で待機して判断します」と。
高度を下げ右に旋回、南南西からの進入である。海の上に雲だか霧だかあったのだろうが、進入時は小さめの切片になっていて連続して視界を妨げるわけではなかった。というわけで無事に定刻に着陸した。
空港の規模の割には長めの誘導路をターミナルに向かって進む。米軍も自衛隊も居るから戦闘機が並んでいる。見ると一つしかないボーディングブリッジ付スポットに別の機材が居る。その隣に着けてバス移動らしい。
バス移動なら早く出てもしょうがないので、他の乗客がドアが開く前に立って並ぶのを横目にゆっくりしていたがなかなか開かない。もう階段の車両はスタンバイできてるのに。アナウンスが「他の飛行機の出発を待っている」と。要領を得ないがその後の説明で合点がいった。
岩国空港は滑走路・誘導路共に官・軍のエリアにあり、民間エリアであるスポットとの境にゲートがある。このゲートが開いているうちはセキュリティのため乗客を飛行機から降ろせないとのことだ。
何故ゲートが閉まらないかと言うと今隣にいる機材が出ていくからだそうだ。通常ならいるはずの無い機材がおそらく相次ぐ欠航で岩国にとどまっていたのだろう。ただ、どのタイミングでその機材を出すかはANAの判断だから、我々が待たされているのはANAのせいだけど。後で出すとか前もって出すとかできただろ。
というわけで機内で待つこと20分、しかもバスではなく徒歩で(そもそも距離は100mもないが)ターミナルへ。正面へ出ると岩国駅行きの連絡バスは待っていた。荷物を預けた人を待つだろうから、その間に空港ターミナル外観などを撮っておく。
こちらも当然桜の季節

正面(雨除けが邪魔で建物全体が撮れない)

連絡バス

以上、これでもかとたたみ掛ける不運にめげず、このミッションは達成した。ただ、この後の行程にそれなりのしわ寄せがあり、立ち向かう気力・体力が心配である。