今度は、一気に「雄信内」へ向かう。朝7時台の特急のあと午後まで特急が無いので、「稚内」を11時近くという中途半端な時間なのだが、宿で朝食を済ませるとこの列車しかないので、観光客が乗っていて乗車率は高めである。長椅子しか空いてなかったと思う。
運転席の後ろに立ってずっと前方を眺めている(その筋ではこれを「かぶりつき」という)人がいるが、ワンマン列車はその位置に料金箱がある。したがって、そこに立つのならば駅に停車するたびに下車客がいないか確認する義務があるが、やってる人を見たことが無い。たいていはもっとタチが悪くて客室から出るためにデッキのドアを大きめの音で開閉しても必死で動画を撮っている。しかもいい年ぶっこいたオヤジだったりする。鉄道はあくまで公共のものである。(景勝路線・観光列車はあるにせよ)エンタテーメントでもアトラクションでもない。そういうことをやりたければ貸切列車をチャーターしてやれよ。
途中の「幌延」は今晩の宿泊地であるが、もどってくるのは6時間半後である。行き違いの「スーパー宗谷1号」が4分遅れとのこと。したがってこちらも遅れるが、待ち時間が嫌ほどあるのでどうということはない。
「雄信内」は古い駅舎の残る行き違い可能駅である。灯油タンクがどうみても現役だが、冬はストーブを炊くのだろうか、それとも駅務室が地元の集会所になっていて時々使うのだろうか。

街は南を流れる天塩川を越えて更に南へ離れたところにある。「抜海」同様(鉄道しか手段が無かった昔はともかく)地元の人にとっては使いにくい駅だと思う。2時間半超という待ち時間があるが、日差しが暑い。街まで歩く気もないのでひたすら待つ。
駅名標の隣の駅「ぬかなん」は書き直されたものである。元は「かみおのっぷない」と書いてあったはずだ。駅名標の隣の駅の書き換えは、たいてい新駅開業によるものだが、JR北海道では廃止によるものが殆どである。

駅前は空き地があるのみ、奥の道路は左右に伸びていて、すぐ右手に商店があったが廃屋になっていた。

あとは構内写真を並べる。駅舎裏側。

上の地点でアングルを右へ振った。

乗ってきた列車が上り方へ走り去る。

下り方を見る。左へ伸びるのは(たぶん)貨物扱いしていた名残の側線である。

上の地点で振り返る。側線の終端が見える。

突然だが、ここでトイレ事情を書いておく。無人駅のトイレが使えるかどうかは駅舎の新旧・規模には関係なく、原則列車のトイレしかあてにできない。Wikipediaが最新の情報でないことはもとより、JR北海道の一部の支社は独自のサイトで駅情報を載せているが、これとて最新かどうかは疑わしい。
参考までに旭川支社の各駅紹介トップページ:
http://www.jrasahi.co.jp/contents/facilities/station/index.html
下り列車で「上幌延」へ戻る。宗谷線は特急が3往復しかないので、観光客の活動時間帯はやはり乗車率が高いようだ。
「勇知」と同じく貨車駅舎でカラーリングも同じである。貨車駅舎の駅は(例外はあるかもしれないが)、たいていは元は立派な駅舎があり、行き違いも可能だったと考えてよいだろう。駅前があまりに寂しいので国鉄時代は仮乗降場かと思いきやそうではないようだ。

駅名標:止めネジの錆が滴った跡はよく見かける。

下り方を見る

上り方を見る

上り列車で「安牛」へ戻る。途中「南幌延」に停車したとき、ホームしかないのでは?と勘違いした。実際については後術する。
この列車は他に老夫婦一組とガラガラだったのだが、オヤジの方が各駅で降りて画像を撮っている。定時運転しているうちは各駅でわずかながらも所定の停車時間があるので、乗降客が居なくてもすぐに発車しない。が、遅れれば開けた扉をすぐ閉めて回復に努めないといけないからこんなことはできないはずだ。運転手が容認したのか放任したのか知らんが、たとえばこれがブログに載ったら「われもわれも」になるんじゃないだろうか。定時運転であってもやめさせるべきだ。これと同じのを後々日高本線と札沼線で見かけたが、それぞれ別のオヤジだ。札沼線のほうはすぐに「危険なのでやめて下さい」と運転手にたしなめられていた。こんな破廉恥なことをやる輩は、鉄ちゃんではなく俄かか似非の素人だと思いたい。くどいようだが鉄道は公共の輸送手段である。アクティビティのツールではない。
「安牛」も貨車駅舎である。以下同文的に画像を並べる。
これまででは外壁の塗装剥がれが一番ひどい。

駅名標

下り方を見る

上り方を見る

駅前には何も無い

さて、ここから「南幌延」まで駅間歩行である。さきほど待合室の存在を確認できなかったので、余裕時間ぎりぎりまで「安牛」の待合室に居たほうがよいような気もするが、日差しがあたってサウナ状態になっている。「南幌延」に着いた後に雨が降るのは(そんな気配は無いにせよ)嫌だが、歩行中に降られるのはもっと嫌なので、エイヤで歩き出す。
道すがら、左右は牧草地である。

空気は乾燥しているが日差しが強く、このシリーズ最初の歩行は距離の割には疲れた。
「南幌延」に到着し、早速撮影である。
上り方を見る

下り方を見る

駅名標はあるが、時刻表も料金表も無い。そんな馬鹿なはずは無い。

ホーム上り口側の道路…

の向かい(上の画像でまわれ右したアングル)に小屋があった。

まさかと思って草に埋もれた入口を開けてみると…。やはり待合室だった。

待合室の(たぶん腰掛用の)幅の狭い棚状の部分に座ってはみたものの、、床が傾いていてどうにもバランスがとりにくい。窓を開けて風を通したいが蚊が入ってきそうだし。日が傾いて若干日差しが弱まったので、ホームでシートを敷いて座っていた。時刻表を眺めていたら、下りの特急「サロベツ」が通過することがわかったので動画に収めた。(動画はまだ編集してないのでいずれ)
下り列車で「下沼」へ、この列車は「稚内」まで行くのでまだ観光客が乗っていたと思う。
「下沼」は単線の駅である
もう4つめで既に見飽きたが、貨車駅舎である。

下り方を見る

上り方を見る

駅名標:「ほろのべ」側に廃止された駅があることがわかる。

駅前はやはりこんな感じ

待ち時間はあまり無いが「駅ノート」を読む。いろいろな人が書いているのだが、同好の士の書き込みに湧水が近くにあるとの情報があった。飲料はまだ残っていたが、駅から数十メートルなので飲みに行った。


上り列車で宿泊地「幌延」に到着し本日の日程は無事に終えた。
宿は駅前にあった。一人の客が「わざとやっているんじゃないか」と思うほど「のっしのっし」重低音を響かせて廊下を歩いていた以外は、可もなく不可もない。ただ、クーラーは無いので日中の熱気が抜けるまで、窓のそばへ扇風機を持っていって強でまわし続けた。
コンビニが遠くにしかないので、買出しに時間がかかるのは覚悟していたが、近くにスーパーがあってまだ営業中だと主が教えてくれた。そこで夕食、明日の朝食、そして昼食まで調達した。部屋に冷蔵庫は無くても、「共同使用の冷蔵庫」があるので冷たいものもOKだ。
実は食料調達に関しては今日の分も同様であった。以後、これがパターン化する。昼食時に食料が調達できる駅に居ることはほとんどない。
次の記事⇒#07へつづく