大河ドラマ『光る君へ』“勝手に解説”~第十七回(3)ー③子猫の産養 | 愛しさのつれづれで。〜アリスターchのブログ

大河ドラマ『光る君へ』に関して、勝手に、私感含めて書いております。ネタバレは~という方はご注意ください。

読み進む前に「はじめに」をご覧いただければ幸いです。 

 

 

 

※年号が間違っていましたので訂正しました(2024年7月21日21:30)

 

③子猫の産養

長保二年元年八月、一条天皇は定子のために祈祷を行わせたり、お産に必要な雑具を調達するよう命じるなどミルク定子の出産、とりわけ皇子の誕生に期待を寄せていました。二十三日、行成は一条天皇から相談を受けたますが、「温樹を語らず」の言葉が再び見えることから朝廷内のこと、定子の産む子どもの今後についてのことかと考えられます。またこの日は詮子も参内するなど、慌ただしい様子です。

ただ、十八日には大江匡衡が行成に対し、則天武后の故事を語って内裏が焼けたのは「定子が内裏に参入したからだ」との見解を示す(『権記』)など、相変わらず定子自身に対する公卿層の非難は高いものでした。九月に入ると一条院には怪異が続きます。三日に馬場殿に犬の死骸、六日には犬のフン、八日には道長の宿所の床下に童の死体が置かれているのが発見され、触穢となり、政務や儀式が停滞してしまいますガーン

そんな中、一条天皇は流産してから参内のなかった元子を、七日に一条院に召し出します。周囲の定子とその子どもに対する態度、幼い彰子を迎えなければならない状況がそうさせたのか、とにもかくにも元子への寵愛は未だに続いていました。『御堂関白記』には元子が西の対の東北角を宿所としたと見えます。

 

十九日、一条天皇は内裏で飼っていた猫ネコが産んだ子猫の「産養」を、詮子と道長の臨席のもとで行います。子猫に乳母をつけ、昇殿させるために五位の位階を与えるなどします。これを知った実資は「『時の人、之を咲(わ)らう』と云々。奇怪の事(中略)未だ禽獣に人の礼を用いるを聞かず。ああ」ショック(『小右記』)と嘆いています。しかし、詮子が同席している所を見ると、定子のお産、特に皇子誕生への願いも含まれていそうです。

 

右矢印(4)ー①に続きます黒猫