アンティル・ドーン | kazuのブログ

kazuのブログ

サラリーマン社長のムービートラベル

人里離れた、古い館に迷い込んだ若者5人。80年代のいわゆるスプラッターなら、アホでイチビリな奴が一人また一人とアラーっていうような世にも無残な方法で始末されて行く。ところが本作は違うんですな、いきなり殺人鬼が現れて...とここまでは一緒やが5人まとめて一気に始末されてしまいます。えっ、もう終わり?と思いきや館にかけられていた砂時計がひっくり返って、時間が殺される前に戻ってしまう。「夢やったんや」と思いきや今度はまた別の殺害方法で...とまたその瞬間、時間が戻って...いわゆる無限のタイムループ。観ている者も主人公たちも繰り返し繰り返し恐怖を味わいます。そんな映画がこれ、「アンティル・ドーン」。〝Until Dawn〟そう「夜明けまで」。夜が明けるまでこの恐怖が繰り返し、繰り返しやって来るわけです。正直あんまりホラー映画って好きやないんやけど、季節柄どうしてもこの時期一本や二本はこういう作品はやってきます。主役はこういう映画は対外無名の若手俳優。定番です。じゃあ一体この結末はどうなるか?何でこんなことが起こるのか?そこが観どころ。だいたい殺られて行くのは度が過ぎるおふざけと自制心のない、性欲だけが服を着て歩いているような今でいうパリピな若者なんやけど、今回の若者たちは仲間の姉妹が失踪したのが心配して一緒に旅を続けると言う結構、真面目な若者たち。まあ多少シチュエーションも変えないとただ、ただギャアギャア喚くアホばっかりじゃ「またか」ってなるもんね。

失踪した姉のメラニーを探してクローバーは友人たちと車で旅を続けていた。精神が不安定で自殺未遂も繰り返す彼女を気遣ってクローバーの元カレのマックス、霊感が強いと言うミーガン、クローバーの親友ニーナと彼女の恋人エイブはある田舎町のガソリンスタンドの主人から「この先のグロア・バレーと言う町で人がよく失踪すると言う噂を耳にする」と聞いた。5人はその町に向かったが途中、猛烈な嵐に会ったがなんとかグロア・バレーの町にポツンと建つ館にたどり着いた。だが不思議なことにその敷地内を境に雨が降っていない。館の敷地内を囲むように見えない壁が立っているようであった。

館の中には人気がなく、フロントに宿泊者名簿が置かれていた。そして名簿の中にメラニーの名前を見つける。だが何行にも繰り返し名前が書かれている。これは一体...。館の中の一室には行方不明者たちの写真が無数に張られていた。やがて不気味な館に夜の帳が降りる。突然5人にマスクで顔を覆った殺人鬼が襲いかかる。たちまちのうちに全員が惨殺されてしまう。だが次の瞬間、5人は殺される以前の時間と場所に戻った。そして宿泊者名簿を確認すると名簿に名前を書いたニーナの名前の下にもう一行ニーナの名前が付け加えられていた。窓の外を見ると来た時にはなかった古ぼけた一軒家が建っていた。そして、またもや5人は違う襲撃者より違った殺され方をした後、殺される以前の時間に戻る。するとまた周りの景観が変わっていた。彼らの体にも異変が生じてくる。ここは殺戮タイムループの空間だったのだ。だが殺害を繰り返されるうち5人は町の秘密に気付き始め、恐怖のタイムループから抜け出す唯一の方法を知ることになる。

 

根本的にホラー映画は嫌い。映画を楽しむ貴重な約2時間をなんで怖い思いに費やさなあかんのか?なんて思ってしまうわけです。マニアにはこたえられへんのでしょうなぁ。その心理がようわからん。だけど結構残虐でっせ。頭は叩き潰されるわ、体が肉片になって吹っ飛ぶわで人体破壊が結構エグい。当然の如くR18指定です。繰り返し繰り返し同じ登場人物の人体破壊を見せつけられるとトラウマになるけど生き返ると思うといつしか麻痺と安心感が交差し落ち着いて映画を観てしまいます。結構このタイプは初めてやしね。マスクを付けたサイコパスかモンスターがなたを振り回し、パリピのアホたちを折ってたたんで裏返し...と言う一昔前のスプラッタームービーとは違います。どこか人間と言うのは心の中に残虐性をもっており、世間知らず、ヤル事しか考えず、人の迷惑を考えない悪ふざけで楽しんでいるような奴が「さあ次はどんな殺され方するんかな?あんなことされるんかな?こんなことされるんかな?」とワクワクして観てしまう。比較的真面目で優しかった子だけがいつも生き残るんやけど。突拍子もない殺され方が楽しみだった80年代は遠に飽きられて、今はグロテスクさはあってもストーリー展開やその裏に隠されたなぞ解きを楽しむようになった若い人が多いんやないかな。やっぱりホラー好きは若い人と決まってます。そう考えれば映画に出てくるパリピと同程度の脳細胞だった我々世代とは今の若い人は雲泥の差で頭がよろし。

さて、私毎で恐縮ですがスプラッター系ホラーやゴシック系ホラーがあまり好きでない小生もホラーの中で唯一好きなホラーのジャンルがあります。「エクソシスト」に代表されるような人間対悪魔を描いた作品。悪魔と言うのはなかなか掘り下げると歴史文学でもあると思います。最近ではラッセル・クロウの「バチカンのエクソシスト」、大ヒット作「オーメン」の前述談を描いた「オーメン:ザ・ファースト」、それからキアヌ・リーブスの「コンスタンティン」も好きやね。「怖い」よりも先に「堕天使ルシファーがetc...」とかって下りに興味があります。そんなんから考えりゃぁ「ドラキュラ」もそう。ゲイリー・オールドマンとアンソニー・ホプキンスの「ドラキュラ」はホラー映画じゃなく恐怖文学とでも言うのかな。シュワルツェネッガーの「エンド・オブ・デイズ」やウェズリー・スナイプスの「ブレイド」もそうやけど、あれはオカルトの名を借りたアクション映画。ジャンルがちゃうかな。

話しが大きく飛んでしまいましたが本作はどっちかって言うと私の好きなホラージャンルじゃないけどマニアの方にはよくできていて結構面白いと思いますよ。