グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声 | kazuのブログ

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リドリースコット監督87歳。このバイタリティはなんなん?私は62歳で疲れ切っています。映画に対する探究心、情熱、愛。自分が情けなくなってきます。ある種カリスマ的俳優ラッセルクロウを主演に置き、将軍から剣闘士=グラディエイターに身を落としながらも決して自らの誇りや信念を曲げなかった英雄マキシマスを描いた前作から24年、「グラディエイターⅡ英雄を呼ぶ声」では英雄マキシマスの忘れ形見であり、皇帝の血を引きながら過酷な運命を背負うルシアスにほとんど無名の俳優をキャスティングし、内容としては前作を上回るような歴史叙事詩を描いています。スケールは凄いの一言、上映時間2時間40分、飽きさせません。怒り、憎しみ、復讐心を超越した「何か」がこの歴史スペクタルを盛り上げます。

賢帝マルクス・アウレリウス没して16年、ローマはカラカラ帝とゲタ帝と言う若き双子の愚帝により腐敗と衰退の極致に達していた。将軍でありながらグラディエイターとして不遇の死を遂げた英雄マキシマスとアウレリウスの娘ルッシラとの間に生まれたルシアスは混迷するローマを離れ今はハンノと名を変え、北アフリカの都市ヌミディアで、愛する妻と共にひっそりと暮らしていた。だがローマの侵攻はこの遠く離れた都市にも魔の手を伸ばしてきたのである。アカシアス将軍率いるローマの大軍に必死の抵抗を見せるもヌミディア軍は殲滅されてしまう。司令官として必死で戦うもルシアスは妻を失い、自らは仲間と共に奴隷として連行されてしまう。

ローマに到着したルシアスは他の奴隷たちと共にグラディエーターとしてその戦闘能力を見極められる。獣や同じ奴隷たちと戦わされたが彼の戦闘能力の高さに目を付けたのが富豪の奴隷商人マクリヌスだった。コロッセオの興行師でもある彼はルシアスの力の源となる怒り、憎しみがまさに最高のグラディエーターとしての才能だと感じたのである。

「お前には怒りがある。だが誰の首を差し出せばその怒りに見合う?」

「ローマだ。だが将軍にしておく」

しかしローマに入った彼はより怒りを増すことになる。母ルッシアは今は将軍アカシアスの妻となっていたのである。コロッセオに入った彼はまさに連戦連勝、強靭なグラディエーターをなぎ倒す。ローマの民衆は彼に拍手喝采し熱狂した。だが彼の思惑とは別にアカシアスもまた苦悩の日々を続けていたのである。双子の若き皇帝による腐敗政治に絶望し、他国を侵攻し続けるローマに限界を感じていたのである。今のローマを憂うルッシラをアカシアスに押し付け政治に介入しないようにさせたゲタとカラカラはローマに恐怖政治を強いていたが限界に来ていたのである。アカシアスとルッシアは共謀し密かに双子の皇帝追放を画策していた。だがその謀議は事前に漏れ二人は捕らえられ、ルッシアの目の前でアカシアスはルシアスとコロッセオで戦うことになる。ついにルシアスの願いは叶えられることになったのだが...。

 

観終わったとたんふぅーっとしましたねぇー。しっかしイタリア人と言うのは昔から血の気が多いと言うか、残虐と言うか、やっぱり首が飛んだり、腕が切り落とされたりと言うのが好きな国民性何ですねぇ。当然R-15指定です。しかしこういう作品を観るとこの時代のことを調べてみたくなるのは性格なんですかねぇ。仕事もせんと...。まず、元凶の二人の皇帝、ですがこれは実在したようです。物語はドラマチックに飾られていますが、どうやら相当のアホやったことは確かだったようですわ。話は横にそれますがカラカラ浴場と言うのはこのカラカラ帝が建設させたもの。日本映画でヒットしたコメディ「テルマエ・ロマエ」ででてきたあの大浴場。日本のスーパー銭湯でもこの名前を付けてるとこは結構多いですね。しかしカラカラ帝はこの大浴場で常に淫蕩に耽っていたのだとか...。父親から受け継いで皇帝についた時は弟のゲタ帝と共同統治だったようですが結果、この映画同様にあっさり暗殺してしまったそうです。カラカラはゲタに着いた家臣たちも皆殺しにし、アレクサンドリアの遠征時には民衆2万人を惨殺したんだそう。カリギュラだのネロだのコモンドゥスだのローマ皇帝には賢帝も多いけどこういった暗君も多数存在したんですねー。庶民はたまりません、その庶民のはけ口をコロッセオに向けさせたわけですね。まあー、今の日本はそこまで残虐ではないにしろよう似てますね。賢帝はまずおりまへん、アホばっかりです。で、このカラカラ帝やっぱりええ死に方はできまへん。遠征中に近衛兵隊長にう◌こをしてる最中に後ろから刺されて殺されてしまいます。このカラカラ帝を殺した近衛兵隊長の名がマクリヌス。そうデンゼルワシントンが演じたこの物語の黒幕ともいえる奴隷商人です。はぁーっリドリースコット、よく見てますねぇ。物語を作る際いろんな資料を読み漁ったんですねぇ。巨大なコロッセオに大量の水を流しいれ、海戦を再現した舞台を作り上げ中に二艘の船と大量のサメをいれて戦わせる場面があります。船から叩き落された者は当然、サメに喰われる。これも本当にあったそう。サメはウツボだったそうですが。ここまで調べ上げてるんですねぇ。だから面白い映画を作り出せるわけですが。

史実と虚実を混ぜ合わせフィクションでありながらすべてが作り事かと言えばそうではない。このアンバランスな魅力が何とも面白い。ラスボスにデンゼルワシントンを据え、物語を盛り上げました。デンゼルのここまでの悪役ってアカデミー賞に輝いた「トレイニングデイ」以来かな。何をやってもうまい人です。最初はルシアスに心を寄せる善玉になるのかなぁと思いきや...である。もうこれ以上話すと映画が面白くなくなります。彼が演じたマクリヌスと言う男もかつては奴隷でグラディエーターです。「なんとしても生き残ってやる」と言う信念で異国人でありながらこの地位まで上り詰めたわけです。本当に生き残れるのはほんの一つまみの人間です。それだけ生と死が背中合わせだった時代なんですな。それに比べりゃ我々は幸せか...。、、

しかしそれにしても、これだけの大作を配給しながらもパンフレットを用意していない東和ピクチャーズはどういうつもりや?余韻に浸ることがでけへん。近頃、こんな配給会社多い!ホンマにたるんどる!