夏も終わったと言うのにホラー映画ですか?ところがこの作品、昨今までの「吸血鬼映画」とは一味違う。6人の犯罪者が一人の少女を誘拐する。だが、少女はヴァンパイヤだった...。これは怖いと言うか、何と言うか。この誘拐犯人たちは監禁したつもりが少女のかごの中だったのであります。要するに餌。間抜けと言うか、何と言うか、どっかグロと一緒にユーモラスな面も感じられる作品です。しかしも向うさんの子役はうまいですねぇ。ヴァンパイヤに転じるあの表情、14や15の少女に首なし死体と躍らせるアメリカ、凄いですねぇハリウッドは。児童に対する法律が厳しいこの国がやっぱり映画だけは別なんですね。
6人の男女が2チームに分かれて待機している。一つは劇場で誰かを待っているチーム、もう一つは大きな邸宅に張り込んでいるチーム。劇場から一人のバレリーナが出てきた。まだあどけない少女だ。彼女は運転手付のリムジンに乗りこんだ。後を付ける3人の男女。少女を乗せた車は邸宅に張っていたチームが待ち構える中に入って行った。少女が自室に入っていくのを見計らって彼らは少女を取り押さえ邸宅の外へ連れ出す。少女を誘拐した6人が向かった先は人里離れた郊外に立つ古い大きな屋敷だった。無事到着した彼らを出迎えた男は「1日だけこの少女を監禁すれば身代金5,000万㌦が手に入る」と言った。6人はお互いを知らなかった。お互いの名を知らせないことが条件だった。男は6人に仮の名前を名付けて屋敷を去る。元軍隊で衛生兵をやっていたと言う女はジョーイ、リーダー格の元刑事をフランク、裕福な家の出身だが天才ハッカーの若い女はサミー、元海軍兵の男をリックルズ、血の巡りは少々悪いが力自慢のピーター、悪ふざけの過ぎるドライバーの男をディーン。彼らの仕事はあとは1日が過ぎるのを待つだけだった。
麻酔を打たれた少女が目覚めるとジョーイがおびえる彼女を宥める。少女の名はアビゲイル。父は誰だかわからないが大富豪のようだ。1日の時間を持て余していた6人だったが屋敷の様子がどうも変だ。そして深夜、キツチンで首を切り落とされたディーンの遺体が発見される。彼らはアビゲイルの部屋に駆け付けるが怯えていたように見えた少女はゆっくりと言う。
「せっかく出会えたのに残念だわ」
不気味に微笑む少女は恐ろしい本性を現す。アビゲイルはヴァンパイヤだったのだ。襲いかかる彼女から5人は屋敷の中を逃げ回る。屋敷から脱出しようとしたのだが屋敷の扉、窓、すべて外からロックされていた。彼らがアビゲイルを監禁していたのではない。アビゲイルが誘拐犯たちを監禁していたのだ。そう彼らは餌となっていたのである。恐怖の夜は始まったばかりだ。
うわぁー、やっぱり凄いねぇ。これだけエグいと途中から麻痺して怖くなくなるもんねぇ。ナイアガラやイグアスの滝のように血飛沫がとび、思いっきり木端微塵の人体破壊は「フロム・ダスク・ティル・ドーン」以来だわ。ラストは敵と味方が入れ替わるカオス状態。最後の最後に出てきたラスボスは暗にドラキュラ伯爵を匂わせたりしてね。まあ練りに練ったラストのおち。大雨にうたれたように血を浴びて去ってゆく姿はまさに女性版ジョージクルーニー。ところで観終わった後、映画に登場した料理や、その映画にちなんだ料理を食べて帰るのがこの頃のスタンスになっています。例えばハリウッドのポリスアクションなんかでは大概、一匹狼の刑事は不健康そうにハンバーガーやホットドッグを食べています。チャイナが舞台となったり香港映画なんかだったりすると元町の中華街へ足を運んだり、韓流映画じゃ勿論、韓国料理。日本映画じゃやっぱり天ぷらとかそば・うどん。それじゃ吸血鬼ホラーを観た後は...?。真っ赤なトマトソースがたっぷりかかったオムライス。しかもでっかいソーセージが添えられてました。これを平気で食える自分は怖いわ。