今回は熊本県の北に位置する菊池市を訪れます。菊池は人口約45000の小都市ですが、大宰府に近く九州の要所に位置していたので大和朝廷時代にはある役割を担って山城が作られたようです。またこの一帯を平安から室町まで菊池一族が支配しており大宰府に近い事もあって戦も多かったようです。歴史好きにはたいへん興味が湧きます。(2022/06)
菊池については初めてなので情報収集のために菊池公園にある菊池観光物産館に寄ってみます。さすが菊池温泉で足湯が迎えてくれます。
観光案内所では菊池一族の史跡などについての情報も教えてもらいます。時間が限られますので効率的に行ける場所のルートを少しずつ考えることにします。観光資料が充実しており菊池一族の資料や史跡マップなどが助かります。
菊池神社や近くを散策していると公園の中央には騎馬像らしきもののシルエットが浮かび上がります。
躍動感のある素晴らしい騎馬像ですね。菊池一族の十五代の菊池武光の騎馬像です。菊池一族は24代まで続きますが一族の最盛期を築いた猛将で戦いに百戦百勝であったと伝わります。
菊池武光は後醍醐天皇の南朝軍として懐良親王と共に筑後川の戦いで北朝軍を破る等で大宰府や九州各地を支配するまでの大勢力となりました。義を貫く菊池一族を象徴したような姿は菊池市のシンボルになっているようです。
その当時の南朝の中心が菊池に置かれていたことをあまり知る人はいませんね。実際に現地に来ないと知り得ない話が多くて勉強になりました。
いろいろ菊池一族の史跡巡りをしたかったですが時間が限られます。宿泊した菊池グランドホテルの前には22代能運公墓所がありました。(正観寺実相院跡)市内を中心にゆかりの地が存在します。
菊池一族最後の直系となります。23歳で戦いの傷が原因で死去したと伝わります。菊池一族の歴史めぐりはこれくらいしかできませんでしたが奥が深いのでゆっくりと再訪したいです。
そして菊池のさらに深い歴史を巡ります。市内から車で約15分、続百名城に登録された鞠智城を目指します。7世紀の白村江の戦いで百済が敗れたことで九州の防衛のために大和朝廷がいくつか作った城の一つです。
着いてすぐに少し変わった城の建物が見えてきます。右が鼓楼で左が米倉になります。この鼓楼は復元されたものですが八角形の珍しい構造をしており国内の古代山城では例がなく中国か朝鮮半島の影響を受けたものと推測できるとのこと。
手前が校倉造りの高床式の米倉です。
発掘により炭化米がでてきたことで米倉であったことが分かったそうです。
鼓楼の姿は目を惹きますね。菊池の観光ポスターにも使われていました。この他に復元された兵舎と校倉を見ることができます。
三層構造で高さは15.8メートルあります。名前通り最上階にて太鼓を鳴らして連絡等を行った施設と言われています。
内部の様子を見学できますが何本もの柱で支えられているのが見えます。
1層に49本、2・3層に16本の柱が確認できたそうです。
城の規模は非常に大きく面積は東京ドーム約12個分もあります。建物跡は鼓楼をはじめとする72棟の建物跡や、貯水池跡、土塁跡など、当時の姿を物語る貴重な遺構が相次いで発見されています。食料や物資の補給基地の役割があったのでしょう。
まだ発掘調査が行われているそうで広大な敷地で建物跡があちこちに残ります。
施設跡が点在しているのでしっかりと城の敷地を見て回ると約3キロ90分のコースになるそうですが、今回は7世紀の太古のロマンに思いを馳せて全景を眺めただけで帰ることにします。
鞠智城のシンボルである温故創生の碑が見送ってくれています。
温故創生館にて鞠智城とは何か、その築城目的や城の歴史、時代背景について学ぶことができます。
展示パネルなど内容は非常に分かりかったです。白村江の戦いの後に大宰府と連動して大野城、喜肄城と共に北部九州の防衛の役割を担ってきたことがよく分かります。
高台からの眺めで分かるのは城はやや高台に位置しているという事です。7世紀の頃から遠くまで見渡せ敵の来襲などを意識した築城であったのが納得できます。
何故か城の敷地内に「山鹿スイーツ&カフェ栗と空」というお店がありました。山鹿町は和栗の一大産地なんですね。その山鹿の栗を使ったスイーツが食べれるカフェですね。
市内へ向かう途中にお土産を買いたくて道の駅七條メロンドームに寄りました。遠くからでも目立つメロンの屋根ですがここ七城はメロンの産地なんですね。
確かにこの時期は旬のメロンが大量に積み上げられて驚きでした。もちろん名物のメロンソフトも美味しく頂きました。
またソフトクリームと言えばネットで探すと必ず出てくるついんスターというお店にもわざわざ食べに行きました。
上質なミルクを使ったアイスクリームが人気ですが溶けるのが早いのと食べるのに夢中で写真を撮り忘れました。(笑)
そして菊池のお土産と言えばあの松風ですね。日本一薄い和菓子と言われています。安くて美味しいです。
鞠智城と菊池一族の歴史を半日で見て回るのはやはり無理がありました。ただ今回資料をたくさん頂きましたので帰宅してから勉強してみたいです。なかなかこれだけの歴史的魅力に溢れる地域は無いですね。温泉もグルメもあって渓谷もありでたくさんの魅力が溢れる町でした。(30)