この日の起点は豊後竹田駅です。夏本番を迎えたこの時期、涼と名水を求めて旅をします。竹田から阿蘇・熊本寄りのこの地域は阿蘇山系からの自然湧水が豊富で伏流水がきれいです。ほとんど熊本との県境に近くなかなか来れないので夏休みの初めに思い切って訪れました。

とても趣のある豊後竹田駅です。竹田市は人口26500人の小さな市ですが、何といっても源義経を迎えるために造られたと言われる岡城跡が全国一の山城として有名です。歴史ある街並みも風情があって人気があります。

ここの駅長は有名なネコ駅長です。以前冬に来たときはストーブ横で寝ていましたがこの日は外に出てパトロール中(?)で行先不明とのことでした。

さて駅の観光案内所に聞いて湧水群や名水の地図を確認して行程を考えます。目的の湧水関連のスポットは竹田駅より南西側熊本寄りに点在します。

竹田駅より豊肥線沿い135線沿いに西へ移動します。途中の豊後荻(おぎ)駅の鮮やかな目を惹く庁舎です。

駅員さんが不在でしたのでホームに出てパチリ。

荻から南に進み陽目(ひなため)の里を目指しまずは白水の滝を見学しにいきます。白水の滝は豊の国名水15選のひとつに数えられており、また田能村竹田が「天下奇景白水滝」と白水の滝を称える言葉を残しているとのことで観る価値はありそうです。

白水の滝・陽目(ひなため)の里に着きました。川の流れが爽やかで吊橋の対岸にはキャンピングスペースが広がっています。この時期は人気でしょう。

名水茶屋では冷たい麦茶を飲んで一服できます。下界よりも涼しい感じがしました。

茶屋のレストランはソーメン流しが名物の様です。家族で来て楽しみたいですね。

なんとこの場所には岡藩中川のお殿様が茶屋を建てて涼を楽しんでいたということです。昔も今も変わらぬ避暑地だったようです。

茶屋から約600メートルほど登りますが川の景観と流れを楽しみながら進みますのでそれほど暑さは感じませんでした。

あと500メートル地点の入口には大野川源流の碑が建っていました。大分まで流れる大野川の源流ですね。

少し登っていくと滝が見えてきましたがこれはまだ途中の滝です。さらに登ります。

水の流れ落ちるゴーという響きが近づいてきました。滝のしぶきが霧のようにマイナスイオンを飛ばしてきました。

白水の滝ですが長雨のせいか水量がすごいですね。カメラもレンズが一瞬で曇りますのでさっと撮影しました。阿蘇山系の伏流水があちこちの岩盤から湧き水となって湧きだし滝となって流れ落ちその滝水が白く見えることから白水の滝と呼ばれたそうです。

よく見ると回りの岩盤からも滝の支流が流れ落ちています。途中いたるところから水が落ちてきて山全体から水が溢れ出ている印象です。

そして白水の滝・陽目(ひなため)の里から車で約3分、新百木トンネルを抜けてすぐにて円形分水の実物を見ることができます。

正式には音無井路円形分水といいますが、円形分水のそもそもの役割は水を均等に分配することにありました。水の豊富なこの地域でも農民間の水争いが絶えなかったということでしょうか。

実物を見るのは初めてです。今も真ん中の円筒から水がこんこんと湧き出て回りの口から水が均等に出ています。

手前の用水路から水が地面から流れ込んで中央の円筒から上向きに水が吹き出てそれが12か所の口に均等に分かれる仕組みです。

テレビのCMで見てから一度実物を見たいと思っていたので満足しました。

さらに移動して今度は白水ダムを目指します。こちらもテレビの旅番組で見てから見に行きたいと思っていました。

山間の濃い緑の中に輝くような真っ白の壁面が見えてきました。滝と違って水音があまり聞こえないようです。

レースの白いカーテンの様で非常に美しい白水ダムです。黒部ダムの様な男性的で激しい流れのダムと違い静かでなだらかで曲面的な女性的なダムと言えると思います。日本一美しいダムという称号もあると聞きます。

70年も現役で使われてきたことで農業土木遺産として国の重要文化財に指定された白水ダムです。

水がなだらかな曲線を描いて落ちるように設計されているので音が静かで何と言っても美しいです。

その後帰路の途中にもう一か所寄る所がありますので竹田市のお隣の豊後大野市に向かいます。途中の豊後大野市になった旧)清川村の豊後清川駅です。

道沿いに道の駅きよかわで一服します。店がたくさんありましたがこの時期桃とか巨峰とかが販売されていて美味しそうでした。

豊後大野市も魅力がいっぱいなのでまた遊びに来たいです。

さて道の駅から約10分、今回は沈堕の滝を眺めに行きます。豊後大野市には原尻の滝という超有名な滝がありますが今回初めて訪れる沈堕の滝です。橋の上から滝が見えてきましたが想像よりもずっと立派な滝ですね。正面の雄滝と右手前の雌滝がペアになっています。

水量もスケールも申し分なしです。右手に水力発電所の跡が残っているのが見えます。

原尻の滝は東洋のナイアガラですがこの沈堕の滝は大野のナイアガラと呼ばれるそうですがいずれも素晴らしいです。

なかなか立派な滝ですのでもっと有名になっていいと思います。

古くからの名瀑であり室町時代にはあの雪舟が訪れ「鎮田瀑図」を描いたことでも知られています。

今回は訪問できませんでしたが竹田市内には他にも湧水群があったり湧水を使ってのエノハ養殖があったりと名水に溢れた様々な魅力がいっぱいです。暑いはずのこの山間の町が湧水による水と風によって他よりも涼しい町になっているように感じました。

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