九州で最も四国に近い岬と言えば関アジ・関サバであまりに有名な佐賀関ですが、この時期は佐賀関には珍しい蝶が飛来するということで見学する人が大勢訪れているそうです。また佐賀関には1600年の関ヶ原の合戦の際に九州の関ヶ原の舞台となった神社もあり歴史散策も少し楽しめます。天気も良いので車を飛ばして佐賀関へ向かうことにしました。

佐賀関のシンボルと言えばこの日鉱金属佐賀関の煙突ですね。佐賀関の風景というと真っ先に頭に浮かびます。この日は風も無く煙が真上に上がっています。

佐賀関が歴史の舞台に登場する最も有名なのはあの勝海舟と坂本龍馬が長崎へ向かう際に九州の上陸地(1864年2月15日)となったことです。佐賀関には一行が宿泊した寺(徳応寺)や一行をもてなした屋号などの史跡が残りますが前回訪問したので今回は敢えて訪れませんがここから熊本まで徒歩で歩ききっています。

珍しい蝶が飛来しているという佐賀関海星館に到着です。ここは口径60センチの天台望遠鏡を備えている天文台で海だけでなく星の観察もできる施設です。

様々な楽しいイベントが実施されています。園内はたくさんの花々が咲いて散策も楽しめますね。

来て驚くのがその景観ですがすぐ眼下に豊予海峡の海が見渡せます。ここは流れが早く渦を巻く海峡のためここで育ったアジやサバの身が絞まって特別に美味いと言われています。右に見えるのは高島です。

海星館の回りにはたくさんの種類の花々が咲いて多くの蝶々が飛び交う蝶の楽園の様な感じになっています。

この綺麗な花はバーベナというそうですがクロアゲハが何匹もとまって蜜を吸っていました。

さて訪問の本命であるアサギマダラを発見しました。ピーク時には百匹ものアサギマダラが乱舞しているそうです。美しい蝶ですね。

しかしこの蝶の魅力はその美しさよりもその不思議な渡りの習性ですね。ここにいるのは旅の途中なんです。

アサギマダラは春から夏にかけては本州等の標高1000メートルから2000メートルほどの涼しい高原を繁殖地とし秋気温の低下と共に南方の九州や沖縄や八重山諸島や台湾にまで海を越えて1000キロ以上を飛んで移動します。

今回もその北上の旅の途中にこの佐賀関に寄って休息と栄養補給を行っているようです。この小さな蝶が風に吹かれてひらひらと飛ばされるようにしてどうして長い渡りをするのか、どうして長い距離を飛べるのかなど不思議がいっぱいです。

5月いっぱいは蝶が飛来するということですがこの1週間が見納めでしょうね。蝶の旅の無事を祈ります。

こちらはアオスジアゲハですがこちらも何匹か舞っていました。

様々な蝶が遊びます。

こちらの綺麗な花を鑑賞していましたらクロアゲハが割り込んできました。

花や蝶を楽しんでいる間にフェリーや貨物船が往来していくのが見えます。ここでボーっと海を一日眺めているのも素敵でしょうね。6月には紫陽花が咲き乱れてさらに美しい景観が見れることでしょう。

近くには海水浴場もあって夏は人が押し寄せるでしょう。

水が透き通っています。

海星館のテラスからの素晴らしい眺めです。爽やかな海風が吹き抜けます。

海星館から歩道が伸びていますので関崎灯台まで歩いて行くことにします。

関崎灯台です。1901年7月20日に初点灯した大分県で最古の灯台です。豊予海峡を通過する船舶の航行に重要な役割を果たしています。

海側からの景観ですが後方に見えるのが関崎海星館です。

早吸瀬戸と呼ばれる流れの早い海峡ですので航海安全と海難除けの地蔵さんが海を見守ります。

そしてぜひ佐賀関で参拝したかった早吸日女神社に寄ります。思ったよりも規模の大きさに少し驚かされました。

神社の起源ですが簡潔には紀元前667年に神武天皇が日向より東征の際にこの地に寄り古宮に祠を建てて祖先の剣をご神体として奉納したのが始まりと伝わります。長い歴史を感じさせる由緒ある神社です。

荘厳な総門ですが1697年の創建と伝わります。創建者は肥後藩主の細川綱利です。当時の所領は肥後藩のものであったためです。

1600年の関ヶ原の戦いの際には何故か佐賀関は戦乱に巻き込まれてしまいます。大分の今津留からの岡藩中川氏一隊が佐賀関を経て臼杵藩を目指して進んだためでこの佐賀関が西の関ヶ原の舞台の一つとなってしまいました。途中岡藩の客将・田原紹忍がこの神社に火を付けて全焼させてしてしまったことで怒った神主・関作之丞が中川氏を攻撃し中川氏はここで重臣の多くを失うことになります。その後は加藤清正や細川氏など肥後藩藩主によって再建・復興されていくことになります。

拝殿の屋根には浦島太郎や三重塔などのユニークな瓦が乗っているのが見えます。

拝殿の後方には本殿のユニークな形態の屋根が見えていました。

佐賀関港には国道九四フェリーがちょうど着いたところです。佐賀関と三崎の間を何と一日16便も出ています。九州と四国が70分ということで豊予を結ぶ足になっていますね。私も四国に行くときにぜひ利用したいです。

美しい海、静かな港の風景ですが全国ブランドを産んだ宝の海です。

帰りに寄った道の駅さがのせきです。海産物だけでなく柑橘系の果物もたくさん売られていますね。

展望台から見下ろすとその海の美しさが分かります。本当に透明で底がくっきりと見えています。

昔から海との関わりが深く歴史があって海上交通の要所となってきた佐賀関ですが、まさか蝶までが旅の途中の羽を休める場所になっているとは驚きでした。美しい海と花と蝶々に癒された一日でした(35)