大分の国東半島は信仰による六郷満山霊場の仏教文化が残ります。仏法修験の行場ですので近寄り難い雰囲気もありましたが、今はとてもピュアな雰囲気に心が癒されます。両子寺を中心に放射状に広がります。

大分空港から割と近い豊後高田市になりますが、まずは九州最古の美しい木造建築である富貴寺へ向います。仁王門がお迎えします。

門をくぐると国宝の富貴寺阿弥陀堂です。12世紀後半の建立と言われています、気品があり見てると時間を忘れてうっとりします。

平等院鳳凰堂、中尊寺金色堂と並ぶ日本三大阿弥陀堂と言われている貴重な建造物です。どの角度から見ても美しいです。秋には紅葉の中に埋もれ見るものを癒してくれます。

そしていよいよ仏教文化の痕跡を求めて国の重要文化財と史跡の指定の熊野磨崖仏に向います。熊野社の鳥居抜けて山道を登っていきます。

このような細く薄暗い山道をひたすら登ります。どこまで続くのか分からないために途中で非常に不安になります。

途中から鬼が敷いたという巨石の急勾配の荒々しい自然石の乱積みの石段の山道を進みます。昔このあたりに住んでいた悪鬼を戒めるために神様が「夜の明けぬ間に石段を積み上げれたら住むことを許す」と言い渡しました。鬼はせっせと石段を積みあと一段となったところで神様が鶏の鳴き声を発し夜明けを告げると鬼はだまされて去って行ったとの言い伝えがあります。

石段を登り切って左方を見あげると石壁に彫られた不動明王と大日如来が現れ思わず息を飲みます。そのスケールの大きさにまずは感動します。

不動明王は近くで見ると本当に大きい仏様で、8メートルもありそのスケールに圧倒されます。かすかに笑みを浮かべられているような穏やかなお顔に登山の疲れも癒されます。

こちらは大日如来像ですがきれいなお顔です。6.8メートルの高さがあります。ここに来ると時間を忘れて自然に頭を下げて拝みたくなります。

案内表示板が出ていました。

 

他にも国東半島には仏教文化の痕跡を残す磨崖仏や名刹がありますので、機会があればまた回りたいと思います。

 

さて、足を延ばして大分の石仏文化の象徴の臼杵磨崖仏を訪問します。日豊本線、臼杵駅に降り立つと石仏のモニュメントが迎えてくれます。

臼杵石仏はたくさんの石仏群で、岩壁にたくさんの仏様が彫られています。磨崖仏としては日本初、彫刻としては九州初の国宝に認定されています。調査によると大部分が平安・鎌倉時代のものと言われています。

国宝の大日如来像ですが、昔はこの仏様の首が落ちていましたが、修復されて元通りになってます。 今ではリストラや左遷から守ってくれる御利益のある仏様になっています。

そう、昔はこのような感じでした。(写真) 首が落ちていたんですが不思議に違和感が無く表情も自然に思えていました。

臼杵磨崖仏は4か所にも分かれて仏様群が存在します。これほどの規模は他でも見たことがないと思います。

長い年月で少し風化が出ているところが、逆に長い年月を感じさせてありがたみを感じます。約1000年物間野ざらしの状態で誰もその存在を知られなかったそうですが、ここにきてその素晴らしさに脚光を浴びることになっています。

本当にたくさんの石仏がほぼ一か所に集まっており見応えがあります。誰がいつ彫ったのかもわかりませんし、地元の民話に登場する暗いとのことです。非常に神秘的で心が古にタイムスリップします。

このような山の中に存在するのが信じられないですね。仏の里という言葉がぴったりの臼杵でした。

このようにほかの地域では見れない独特の石仏文化を見ることができ、これも世界遺産にぜひ登録してほしいものですね。 (18)