大山江戸時代、庶民の崇敬が厚く人々は講という組織を作って大山へ参拝しました。江戸時代には年間で数十万が訪れたと記録されています。「大山詣り」の落語も有名ですが安藤広重の浮世絵も残されています。(東海道五十三次細見絵図)
今年ももう終わりですが今年の締めに江戸時代に江戸っ子の間で大流行した大山詣でを体験したく伊勢原市へ向かうことにしました。(2016/12)
新宿から快速で約1時間、大山詣での玄関・伊勢原市に着きました。駅前には大山阿夫利神社の鳥居が出迎えます。
伊勢原駅から神奈川中央バスで約30分、大山ケーブル駅に着きました。大山は別名雨降山と呼ばれており古くから山岳信仰の対象として知られていました。
ちなみに初めて知ったのですが、広重の作品には一枚の絵の中に複数の絵を張り付けて今でいうアルバムみたいな構成にしたもの(張交図)があって、大山道の道中の様子が野化されています。当時の伊勢原も描かれています。
同じく初代広重の張交図ですが品川や神奈川も書かれています。
バス停からケーブルまではこま参道と言われる石段を350段ほど登っていきます。
山頂を目指すハイカーも多く一目でわかります。ちょうどお昼くらいでしたがこれから山頂は無理ですよと言われました。
参道にはお土産屋さんが並びます。手製のこまや豆腐料理が名物です。
大山ケーブル駅に到着します。この日は天気も良く期待が膨らみます。
大山ケーブルの車両は予想したよりもかなりお洒落な新型車両ですね。春には桜、秋には紅葉などが楽しめるようにと窓が大きく景色が楽しめる設計ですね。
車両に乗ってみても天井から空が見えるし窓も大きく素晴らしく明るかったです。(後ろ)
途中の大山駅でも離合の様子がよく見えます。
大山ケーブル駅で降りて阿夫利神社の下社に向かいます。
ここにもお土産屋さんが2軒並んで客引していました。
阿夫利神社の下社の拝殿です。
本当は山頂の本社まで登りたいところですが今回はここ下社の拝殿で参拝とさせていただきました。
ここから本社へは山道を登っていくしかありません。標高は1252メートルで90分ほどかかるそうですがその眺めは関東平野を一望できて格別だそうです。多くの江戸っ子も昔は富士山を眺めるために頂上を目指したのでしょう。
下社からでも眺めは格別です。伊勢原市は一望できますし相模湾もきれいに見渡せます。
源頼朝公が刀を納めた事から大きな太刀を納める風習もあった様ですが実際に奉納された大太刀が納められていました。
よく見ると参道には熊出没注意の看板が!。確かに猿やイノシシは出てもおかしくないと思いますが神奈川県内に熊がでるとは・・・。
下社の参拝が終わりましたので大山寺までケーブルで降りることにします。
ケーブル車両を上から見たところですがなかなかシャープな面構えですね。
途中大山駅では上りと下りのケーブルが離合します。
下るときに見上げてみると結構なこう配であることが分かります。
ロープに引っ張られて下から上りのケーブルが上がってきているところです。
ケーブル大山寺で降りて大山寺に向かいます。
大山寺の本堂は明治初年の廃仏毀釈によって破壊されていたものを明治18年に再建されたものです。本堂周辺に彫られた彫刻はすばらしいですね。
懐かしいかわらけ投げがありました。かわらけをがけ下に向けて投げると厄除けに効くだけでなく直径2.5cmの福輪があり その中をくぐれば幸運をもたらすとされています。
下りなので歩いても降りることができますが敢えてケーブルカーで降りることにしました。
小田急伊勢原駅に帰って来ました。かつては大山に登ると一人前として認められるという伝承があったそうで、これで私も一人前の江戸っ子に認められることになったでしょう。(笑)
来年も福が来ますように。