こんにちは。
独立系ファイナンシャルプランナー、『しょうこFP事務所』の山田祥子です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金の準備として、すっかり定着してきました。
積み立てている間の情報は多いのですが、いざ受け取るときの「出口」には、意外と知られていないルールがあります。
今回は、iDeCoを「年金」の形で受け取るときの注意点と、受け取り中のお金の守り方をお話しします。
1. iDeCoの受け取り方は3つ
積み立てが終わったあとの受け取り方は、次の3つです。
- 一時金:まとめて一度に受け取る
- 年金:分けて、少しずつ受け取る
- 併用:一部を一時金、残りを年金で受け取る
受取り方による税金の扱い
・一時金:退職金と同じ「退職所得」となり、退職所得控除が使えます
・年金:「雑所得」公的年金などと合わせて、公的年金等控除が使えます
受け取りは、60歳から75歳までの間で、開始時期を自分で選べます。
(加入期間によっては、60歳から受け取れない場合があります)
年金で受け取る場合、受取期間は「5年以上20年以下」で決めます。
75歳になるまでに請求しないと、自動的に一時金として受け取ることになり、相場が下がっている時期に、まとめて受け取る形になるおそれがあります。
2. 年金で受け取るときの注意点3つ
① 受け取るたびに給付手数料がかかる
年金を受け取るたびに、1回あたり440円(税込)の手数料が差し引かれます。
これは、事務を行う信託銀行の手数料です。どの金融機関を選んでも、給付のたびにかかります。
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毎月受取(年12回)にした場合: 年間 5,280円の手数料
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年1回受取にした場合: 年間 440円の手数料
受取回数をまとめるだけで、無駄なコストを抑えることができます。
② 受取期間や回数の選択肢は、金融機関によって異なる
受取期間(5年〜20年)や、受け取る頻度(毎月・2か月ごと・年1回・年2回など)は、iDeCoを運用している金融機関によって異なります。受け取りの前に、ご利用の金融機関のルールを確認しましょう。
③ 1回あたりの受取額を決めるルールは「3パターン」ある
年金として受け取る金額の決め方は、金融機関のルールによって、主に次のような方法があります。
- 期間均等払い:受取期間を通じて、毎回、同じ割合・金額で受け取る方法
- 年度ごと割合指定:「1年目は40%、2年目は20%」のように、年度ごとに割合を決める方法
- 残存月数(回数)按分方式:そのときの資産の評価額を、残りの支給回数で割って、毎回の金額を決める方法
3. 投資信託の出口戦略「定額」 vs「定率」
リタイア後に投資信託などの金融資産を取り崩す方法には、一般的に「定額」と「定率」の2つがあります。
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定額取り崩し(例:毎月10万円ずつ換金)
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メリット: 毎月入ってくる金額が一定のため、生活費の計画が立てやすい。iDeCoの「期間均等払い」もこのタイプです。
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デメリット:「取り崩し前半」に大きな相場下落が起きると、その後に相場が回復しても、資産が以前の水準に戻りにくくなるリスクがあります。
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定率取り崩し(例:毎年、資産残高の4%ずつ換金)
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メリット: その時点の資産価値に応じて売却額を調整するため、相場が下がった時には売却額が抑えられ、資産が長持ちしやすい。
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デメリット: 毎回の受取金額が変動するため、定額の生活費補填としては、計画を立てにくい。
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4. iDeCoの年金受取り「残存月数(回数)按分方式」とは?
国の省令(確定拠出年金法施行規則)では、年金で受け取る額は、「そのときの資産額」と「受け取る期間」に基づいて決めることなどが、基準として定められています。具体的な計算方法は、金融機関のルール(規約)によって違います。
ここでは、その一つである「残存月数(回数)按分方式」を見てみましょう。
この方式では、毎回の金額は、次の式で決まります。
毎回の受取額 = 給付直前の資産の評価額 ÷ 残りの支給回数
例として、受取期間5年、年2回(全10回)で受け取る場合を見てみましょう。
第1回目(残り10回): 資産評価額の 10.0%(1/10)を売却して支給
第2回目(残り9回): 直前の資産評価額の 11.1%(1/9)を売却して支給
第3回目(残り8回): 直前の資産評価額の 12.5%(1/8)を売却して支給
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第9回目(残り2回): 直前の資産評価額の 50.0%(1/2)を売却して支給
第10回目(最終回): 残った資産を 100%(1/1)全額売却して完了
「定率取り崩し」と同義なのか?
「その時の残高に合わせて受取額が変わる」という意味では、定率取り崩しに似ています。
ただし、一般的な定率取り崩し(例:ずっと4%)は割合が一定なので、理論上資産はゼロになりませんが、iDeCoの残存回数割りは「取り崩す割合が回数を重ねるごとに自動的に上がっていき(10% ⇒100%)、最終回でピッタリ100%使い切る」という仕組みになっています。途中で資金が底をつく心配がないのが大きな特徴です。
5. 受け取り中の資産を、「価格変動商品(投資信託)」から「元本確保型商品」へ変えるか?
iDeCoで年金を受け取っている間、資産を「投資信託」のまま運用し続けるか、「定期預金などの安全資産」へ中身を入れ替える(スイッチングする)かによって、受取額の安定性が大きく変わります。
① 価格変動商品(投資信託)のまま受け取る場合
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受取額: 相場の動きによって、毎回の受取額が増えたり減ったり変動します。
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リターン: 受け取っている間も運用が続くため、相場が上昇すれば受給総額が増加します。
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リスク: 受給開始の直前や受給期間中に市場が暴落すると、受取額が大幅に減少し、生活費の計画が崩れるリスクがあります。
② 受給開始時に「元本確保型商品(定期預金など)」へ全額変更(スイッチング)した場合
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受取額: 毎回の受取額がほぼ同じ金額(定額)になります。
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仕組み: 元本確保型商品(定期預金等)に変えると、資産残高が相場によって減少しなくなるため、毎回の受取額が定額(均等)になります。
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リターン: 相場急落による資産減少リスクを完全に防ぐことができ、生活費の計画が立てやすくなります。
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リスク: 低金利下では運用利息がほぼ付かないため、毎月の口座管理手数料やインフレ(物価上昇)によって、実質的な価値が目減りします。また、元本確保型商品のうち「積立保険」を選んだ場合、満期前に別の商品へ移したり解約したりすると、「中途解約控除(手数料)」が引かれて、元本割れすることがあるため注意が必要です。
6. 万一のときは?
iDeCoの加入中や受け取り中に亡くなった場合、残りの資産は「死亡一時金」として、遺族が一括で受け取ります。
年金として続けて受け取ることはできません。
死亡一時金は、相続税では「死亡退職金」と同じ扱いで、「500万円 × 法定相続人の数」までは非課税です。
注意点は3つです。
- 受取人は、法定相続人ではなく、確定拠出年金法で決まった「遺族」です(生前に指定もできます)。非課税枠は、相続人が受け取る分に使えます
- 死亡から3年を過ぎて請求が確定すると、非課税枠が使えなくなる場合があります
- 請求の期限は、死亡から5年です。家族にiDeCoのことを伝えておきましょう
7. まとめ
iDeCoの年金受け取りは、「分けて受け取る」というだけでなく、金額の決め方と、受け取り中にどの商品で持つかで、受取金額が変わります。
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「運用を続けながら資産寿命を延ばしたい」 = 投資信託を中心に保有し、残存回数按分で受け取る
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「暴落リスクを避けて定額で受け取りたい」 = 受け取りを始める前に、元本確保型(定期預金など)へ切り替える
- 「リスクを抑えつつ、運用のメリットも少し残したい」=「元本確保型」と「投資信託」を任意の割合で併用保有し受取る
注意したいのは、年金の請求書類を出しただけでは、資産が自動的に安全な商品へ移るわけではないことです。ご自身の生活設計と、値下がりへの耐えやすさに合わせて、受け取りの数年前から、計画的に出口戦略を立てておきましょう。
受け取り方法、受け取り中の口座管理手数料、商品の切り替え方は金融機関によって違うため、事前に確認が必要です。
しょうこFP事務所では、中立公正な立場であなたの最善の利益を第一に考えたライフプラン・資産形成のアドバイスを行っています。保険や金融商品の販売はしていません。
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