高校生の頃、リハビリテーションに興味があった。一時は、リハビリテーション大学
をめざしたいと思った時期もあったが、あっさりあきらめた。
受験科目に理系2科目があったからだ。
親を介護している時、リハビリを見学する機会が多くあり、先日、
eテレのETV特集『リハビリで生きなおす』という番組が目に入り録画して見た。
患者の目標に沿って
町の人口の2倍を超える4万人の患者が、全国からリハビリを求めてやってくる病院。
「寝たきり状態から回復したい」「もう一度自宅で暮らしたい」。様々な思いを抱い
て患者がやってくるのは、和歌山・那智勝浦町立温泉病院。
患者さんに「こうなりたい」という目標を聞き、どのように暮らしてきたかを確認
して、退院後もとの暮らしに戻れるように、𠮟咤激励する。
「日本一きついリハビリ、頑張らん人は、帰ってもらうで」と医師は患者に話す。
行われているのは極限まで追い込むリハビリ。
安静は毒!できるだけ早く、回復に必要なリハビリを患者に科す。
あるアメリカの研究の結果について
驚いた研究だった。
20代の健康な男性に5人に、3か月間、寝たきりの生活をさせる。
3ヵ月後、全身の持久力(最大酸素摂取量)の低下を計測したら、5人全員の持久力
に明らかな低下が見られた。
運動で元の体の状態に戻した後、30年後、再び持久力(最大酸素摂取量)計測。
すると、30年後よりも、3週間寝たきり状態の方が、持久力の数値が低い。
3週間の寝たきりの方が、30年の老いよりも体に深刻な影響のあることがわかった。
寝たきり、安静は毒!厳しいリハビリを重視する理由が、そこにあった。
年齢は理由にならない
この病院では、ケガや障害、年齢に関係なく、患者たちがもとの日常の生活を取り戻
すことを目指している。
車いすの患者さんが、「もう年ですから・・」とリハビリ専門医に言うと、
先生は、「年は理由にならないよ」と言った
80代90代の患者さんたちも多く、「地獄」と言いながらも、リハビリを続けていた
のが、印象的だった。
リハビリ専門医が中心のチーム医療
リハビリ専門医が、外科や内科、呼吸器内科などの知識も活用しながら、高い負荷の
リハビリを実現していた。
リハビリ専門医は、医師全体の1%に満たないが、専門医が中心になって、他の医師
看護師、療法士らと連携してチーム医療を行う。
患者にとって、何が最適かを探っていく。
週に一度、リハビリ検討会をひらき、一人の患者について、気づいたことを指摘し、
提案、検証を行う。意見をぶつけ、医師のアドバイスを受け、治療にいかしていく。
患者に最適なメニューを求めて、日々試行錯誤する。
新人療法士の研修の場でもあった。
ある患者さんの家族は、退院後は家に帰ることをあきらめて、施設に仮契約を
していた。ところが、自宅に戻れるほど回復し、無事元の一人の生活に戻ること
ができた。この病院の在宅、もしくは施設への復帰率は、9割を超えるそうだ。
番組の初めに90代の退院する女性が、「この病院は試合の道場の場という感じが
しました」と言っていたが、納得できた気がした。
本人の「早く帰りたい、元の生活に戻りたい」という気持ちこそが大切であり、
その気持ちに沿って、目標ができる。目標達成には、専門医を中心とした治療と、
本人の能動的なかかわりが一つになって、効果が出てくるのだ。
このような病院の取り組みが広がって、このような病院が全国に等しくあったら
いいのにと思う。
リハビリで思い出すのが、義母が84の時、大腿骨を骨折した時のこと。
まだ認知症が明らかになる1年余り前のことだった。義母は、またもとのように歩け
るようになることを疑わなかった。リハビリにも積極的で、リハビリのない時も廊下
で歩く練習をしていた。おかげで3ヵ月後に退院することができた。
退院後、内科の主治医を受診した時、「この年になると、大腿骨骨折して寝たきりに
なる人が多いのよ、よく頑張ったのね」と言われた。
義母にとっては、足がなおって退院して家に帰るのは当たり前のことだったと思う。
義母の前向きな気持ちが、積極的なリハビリにつながり、頑張れたのだ
番組をみて、自らと向き合う患者さんたちのあきらめない姿に、勇気をもらった。
寝たきり、安静は毒!
年は関係ない!
目標を持って!
自分に適度な負荷をかけて!
私も毎日の体操や散歩に、頑張ろう。
【テレビの画像を使わせていただきました】