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1315.08.  正和四年八月廿一日

滋賀県蒲生郡日野町猫田146

花崗岩製

塔高;108.5

基礎幅;48.5

輪郭幅;33.5

輪郭高;22.5

地覆高;4.0  葛高;4.

軸部高;32.5

縁上板厚;4.0

首部勾欄型高;5.

上部首部高;4.

首部高;9.

塔身高;46.0

笠垂木型幅;39.0

笠垂木型高;1.5

軒下辺幅;48.0  軒上辺幅;48.5

軒中央厚;9.5  軒端厚;12.5

屋根高;16.5

露盤上部幅;20.5

露盤高;4.

笠高;31.5

 境内の隅に石燈籠が置かれている。宝塔は、この石燈篭の部材として再利用されている。

 基礎、塔身、笠が残り、相輪は欠失する。基礎側面は、4面とも輪郭を巻き、平底に彫り込み、中に格狭間を更に平底に彫り込む。輪郭は、上下幅より、両側幅を2倍ほどの幅広にする。格狭間は、輪郭枠一杯に作る。両側幅が広い分、背が少し高くなる。頂部の茨は、上枠からわずかに隙間を開け、両側の曲線は短めにして茨を作り、小曲線につなぐ。1個目の小曲線は、高さを保っているが、2個目の小曲線は少し下げ、側線につなぐ。側線は、中央の高さで大きく膨らみ、低い脚部につなぐ。

 格狭間内は、3面に近江文様を薄肉彫し、1面に銘を彫る。正面は、宝瓶に挿した2本の茎をV字状に上げ、茎の中ほどから左右に開いて、同じ高さ、同じ大きさで対称形の上向きの蓮葉を配し、その中央に、これも同じ大きさの開蓮華を並べている。開蓮華は、3弁だけの単純な形で、欠けたものか肉眼では茎が見えず、宙に浮いて見える。左右を蓮葉としたのは、開蓮華に見えなくもないが、側面に中央蓮華のような蓮弁彫刻がなく、中央蓮華よりわずかに大きくしているのと、後述の左側面の蓮葉に似通った形から判断した。右側面は、格狭間内に刻字がある。肉眼では判読できないが、
 

「右志者奉為/禅門幽霊並/祖父祖母二親/成仏得道也/正和四年八月廿一日願主□□」(註1)とあるという。背面は、中央に開蓮華を彫る。斜め上からの構図で、側面だけでなく蓮肉、蓮子それを囲むように、背面側まで弁先を出し、立体的に表現する。左側面は、宝瓶に挿した三本を、中央茎は直線で上げ、上に蓮華蕾を彫り、格狭間上辺に着ける。左右茎は、曲線で上方に上げ、外向きに広げ、右は先で上に反転させて持ち上げた上向き蓮葉とし、左は曲線をそのままに先を少し下げて左向きの蓮葉を付ける。

 塔身は、軸部、縁板状、勾欄型付首部までを1石で作る。軸部は、上部径を少し膨らませた円筒形を僅かな曲線でつなぎ、側面は、下部に地長押、肩部に上長押を帯状に回し、上下長押に接して、扉型を薄肉彫する。背面は、大分摩耗しているが、扉型の一部が残り、4方に扉型が有ったことが確認できる。地長押と下内法長押は、線刻で区分する。上長押は、上内法長押より少し厚く彫り残して区分する。扉型は、2本の柱に加え、柱と同じ幅の扉中央線、それに上下内法長押からなり、上下共、内法長押は、柱から外に少し伸ばすだけに止め、4方の扉型を独立させている。饅頭形は、上長押の上から低い曲線を作り、縁板状につなぐ。縁板状は、薄めで、軸部より径を幾分か小さくする。首部は、縁板状より径を小さく作り出し、下径より上径を少し大きくした勾欄型を加えて2段にする。勾欄型の側面は、無地。上の首部は、勾欄型より径を小さくして区分し、それより少し背を低くして、上辺を少し窄めている。
 上に、後補の石燈篭中台と火袋を乗せる。

 笠は、火袋の上に乗る。軒裏に薄い1重の垂木型、上辺に低い側面無地の露盤を作り出す。軒幅に対して軒は大分厚くする。その分、屋根は、短くなっている。軒下辺は、平行部分を取って、両端で自然な曲線で反る。対する上辺は、曲線だけで平行部を作らず、両端で強く反り上げる。そのため、厚い軒は、中央より両端が更に分厚くなっている。屋根は、露盤下に起りを付け、照り起り屋根にして、隅降棟には瓦状を付ける。瓦状は、密着した3本構成で、中央を厚く太くして、その左右に中央より細く、先端を少し短くしたものを密着させて添える。屋根の上辺、露盤下辺で2本を密着させた棟を作って、隅降棟の瓦状と連結するのが多く、これもそれらしい痕跡は有るようにも見えるが、摩耗したものか明瞭には確認できなかった。機会があれば、再度確認が必要と思われる。 相輪は、1石で作る。伏鉢、請花、九輪、請花、宝珠の構成。五輪の上で2つに折れたのを、そのまま乗せて、継いである。 伏鉢は、側線が少し立ち上がり気味にして上部に曲線を作り、請花につなぐ。請花は、単弁、背を少し低くして、曲線で上に開き、弁先を少し反らせる。弁周辺に輪郭付きに近い抑揚を付ける。九輪下部は、請花上辺径に比べて、太めの作りで、上を細くして上部の請花につなぐ。輪は、上に行くほど輪厚を減じ、輪間は幅を取らず、線刻に近いV字状の彫り込みで区分する。九輪上辺を少し絞って、上部請花につなぐ。上部請花は、単弁に小さな間弁を付ける。下部径より上部径を大きくするが、側線は立気味の曲線でつなぐ。宝珠は、やや上部に最大径を取った上重心で、頂部を尖らしていたようだが、頂部は、少し欠けている。側線は、曲線の張りが弱くなって見える。
 塔形は、基礎の比高が高く、基礎幅、笠軒幅に比べて、塔身径が太く、また、塔身自体も軸部と首部の径差が小さいなどがあって、全体に出入りが少なく、重い印象である。
1.銘は、『石造美術紀行』(猪野六郎著 Gooブログ)参照

参考文献;『石造美術紀行』(猪野六郎著 Gooブログ)

2024.03.06.08.撮影

1.石仏と石塔参照
2024.03.06.禅林寺宝塔残欠 (2)

2024.03.06.禅林寺宝塔残欠 (3)

2024.03.06.禅林寺宝塔残欠 (7)

2024.03.06.禅林寺宝塔残欠 (8)

2024.03.06.禅林寺宝塔残欠 (9)

2024.03.06.禅林寺宝塔残欠 (11)

2024.03.06.禅林寺宝塔残欠 (13)





 



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