1572.02.時正初日    元亀三年壬申二月時正初日

安山岩製

 

 小堂脇の石垣を積んで1段高くした壇上区画、中央に生えた灌木の根元に、樹木を背にして建つ。基部は、直接土中に埋め込んでいる。  

塔地上高;165.0

基部幅;71.0  基部厚;7.0

最大幅;73.0  最大厚;21.0

  上部がやや狭くなった大型板状自然石の表面をある程度整え、その面に、彫刻する。側面、背面は、切り出しに近い状況である。右下部の1部が割れているが、欠失せずに残っている。

上部中央線刻蓮座上、線刻月輪中に梵字「ア」を刷毛書で浅く薬研彫りする。彫り込みが浅すぎて、梵字を肉眼で確認しづらいためか、字の輪郭に細い線刻を加えている。線刻蓮座は、月輪を支えるのに十分な大きさながら、蓮弁は形式化が進んで表現が硬くなっている。

線刻蓮座下部の広いスペース一杯に、細い線刻の輪郭を作り、銘及び91名の交名を刻字する。

 

            「浄幸 妙幸」

            「重慶 宗習 妙了 妙西 道了 妙千 妙仲」

「元亀三年壬申  「頼嚴 一秀 元了 元西 妙正 上千 一仲」

            「重永 浄秀 妙永 妙千 元正 妙心 妙金」

「重嚴 重瑜 道了 千了 妙叶 上心 上全」

            「重譽 妙正 妙仲 妙知 一叶 妙久 浄久」

            「重圓 浄永 道中 元知 元千 道久 妙全」 

「八万四千塔書冩并法花讀誦一千部権大僧都頼圓志願故也」

         「頼弁 智光 意得 十叶 妙□ 道金 上了」

         「夫署 妙光 妙泉 妙叶 了心 妙金 妙了」

         「重俊 源譽 浄智 上久 妙了 元心 元了」

「二月時正初日」  「重能 妙圓 道喜 道□ 不易 妙心 妙幸」

      「恵俊」  「金譽 重運 妙春 上元 妙元 妙永 道永」

            「平室 重金 妙了 了元 永元 妙智 妙永」

            「祐勢  宗清            道元 妙元」

 銘から、大僧都頼圓が、多く(八万四千)の塔の書写と、法華経一千部読誦を志願し、成就を記念しての造立供養と思われる。書写と読誦は、91名が合力したのか、頼圓1人によるものか判断は難しいが、91名は、喜捨のみの参画ではないかと思われる。

 種子「ア」は、通常、胎蔵界大日如来種子として多く用いられるが、また、仏、菩薩の通種子でもある。

 

1981.08.24.調査