日本中毒学会にベンゾジアゼピンの蓄積についての論文があります。
北里大学の研究チームのものです。

ベンゾジアゼピンの添付文書をみると、高齢者での蓄積が注意されていますが、若い人でも肝臓や腎臓の機能が弱っている方は同じように蓄積します。
代謝しきれなかった薬剤は、脂肪内に蓄積することになります。

また、半減期の長いベンゾジアゼピン=アルブミン結合の強い薬です。
セルシンやメイラックスといった超長期の薬は、アルブミンの結合率が98%と高く、半減するのに10日以上かかります。
これを飲み続けるとどうなるでしょう?

まず、アルブミンが飽和したら、薬は全てアルブミンと結合しない遊離成分となります。
薬は遊離成分のみが効き。遊離成分のみが代謝されます。
もし、肝臓が元気なら、遊離成分は速やかに代謝されます。
肝臓の代謝能力とアルブミン結合の強さが拮抗することによって、一定の薬の血中濃度が保たれるのです。
(また脳内でのベンゾジアゼピン受容体は、常用量の2倍で飽和するので論理的には、それ以上の服薬は意味がありません。)

アルブミンには2つの役割があります。
一つは、薬が長く効くように保持する役割、もう一つは薬を患部まで運ぶ役割です。
アルブミンは、脳関門を通過しないので、ベンゾが働くためにはアルブミンに薬を運んでもらわねばならないのです。
ちなみにアルブミンには、幾つかの結合部位があり、他の栄養などを運ぶ役割があります。
つまり、アルブミンが飽和したところが、薬が有効な限界値なのです。
アルブミンの量は、大量だから気にしなくて良いとの情報がありますが、それは短期の場合です。長期型のベンゾを長く飲めば確実に不足するし、アルブミン競合によって思わぬ副作用を生じます。
例えば、アルブミン競合によって他の薬の遊離成分の血中濃度が高まる危険があります。アルブミン結合していた薬の成分が、さらに結合力の強い薬によって置き換えられ、元の成分が遊離するのです。これは一気に起きます。
リチウムとベンゾの併用注意が、リチウムの添付文書に書かれてますが、それはこの作用に寄ります。

ところが、高齢者や肝臓が弱っている方は、代謝が追いつかないので、薬は遊離成分のまま血中に澱んでいきます。徐々に脂肪内に蓄積していきます。それはもうただの毒です。半減期の長いベンゾジアゼピンを何年も飲んでいるとそれは薬物中毒に徐々に近づいて行くという事です。
離脱症状とか薬が効き過ぎたという事ではありません。薬物中毒です。

多剤をやってる医師は、何日か目に血中濃度が安定すると言いますが、ハッキリ言って馬鹿ですね。
添付文書に何日か目に安定するというグラフが添付されていますが、それは健康な肝臓で単剤のデータです。

肝臓と言うのは、臓器の中でも丈夫で知られています。
実際、代謝酵素も最大で4倍くらいまで頑張って作るのです。
(4倍が限度です。)
ですが、アルコール中毒と同じで、慢性的に働かされると徐々に弱っていくのです。
長期型のベンゾジアゼピンを長期に渡って服用することはそれと変わりません。

手が震えるとか、薬剤性の肝機能障害が出てる方は、中毒症状への対応がまず必要です。
長期型のベンゾジアゼピンを長期に渡って処方するという事は、ヒ素などの毒物を食事に徐々に混ぜて殺すことと何ら変わりません。

厚労省の方、これは紛れもない事実ですよ。
早く、処方の制限しなければ、皆さんの責任も問われます。これは精神科だけの話ではありません。他診療科で肩こり等でランドセンやリボトリールを処方するのも同じです。

ちなみに、長期型のベンゾジアゼピンは、全てビオチン欠乏薬です。
ビオチンが全く働いていない可能性があるので、膵臓系のホルモン分泌が上手くいっていない可能性があります。
ビタミンBだけでなく、ビオチンの補充も検討してください。
マルチビタミンに入っている量ではダメだと思います。
この情報は、臨床による確認がされていないので活用は自己責任でお願いします。