「精神医療界は、学会が機能していない。」
これは、陳情に行った厚生労働省で、担当課長がこぼした言葉です。

’その機能していない’精神神経学会の今年のシンポジウムの内容は注目です。
その内容は、kebichanの記事で詳しくかつ的確に紹介されているので是非確認ください。

ポイントは、kebichanが挙げたように、
・disease-mongeringを取り上げたこと。
・過量服薬と自殺企図を関連付けたこと。
・栄養との関連を取り上げたこと。
発表者には、以前から多剤大量を批判する医師や過剰診断を批判する医師の名前がちらほら見受けられます。一応、期待しましょう。

disease-mongering(わかりにくいので、’病気の定義を変えて病気を作る’と言ってもらいたい。)を取り上げたのなら、精神疾患が医療法における医療計画の重要疾病として記載されるにあたっての理事会見解
と関連付けて議論して頂きたい。
私の過去記事

過量服薬と自殺に関しては、
学会は、今年の1月の学会誌で、バルビタール類の外来への処方、デパスなどの依存形成薬物の処方への警告を行いました。
本シンポジウムで、処方薬による薬物依存が、過量服薬や自殺の原因となっていることを是非議論して頂きたい。

その他、プログラムを眺めてみると、これら以外にも、現在の精神医療の問題を取り上げた発表がメジロ押しです。(相変わらずの発表もありますが。)

この学会での変化が、臨床現場に波及し、
「精神医療界に、学会が機能する。」
ことを望みます。

もし、機能しなかったとしても、この学会の変化は、裁判をやる被害者にとっては朗報です。
裁判で良く見受けられる「これは、精神医療の常識だ。」という言い訳が通用しなくなるということです。

今は、裁判で争うには、障壁が高すぎると思っている皆さん、
カルテとレセプトは入手しておきましょう。

また、同時開催で、
第107回日本精神神経学会学術総会
市民公開講座
「精神科への上手なかかり方」

という誰でも参加可能イベントも開催されます。

演題は、
「抗うつ薬、抗不安薬の正しい理解」
渡辺 義文 先生 (山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学分野)
「精神科医の選び方と利用の仕方」
宮岡 等 先生 (北里大学医学部精神科学)
です。

私も参加してこようと思います。
大丈夫かと思いますが、いい加減なことを言うなら、私が噛みついてきます。

それから、密かに(?)、
よく私のブログに登場するサイコドクターS先生の発表もあります。

私が、S先生の実績で一番、評価し尊敬しているのは次の2点です。
「長期入院患者の単剤化、9割以上。」
「ベゲタミン、セレネースの全廃。」
を実現しているということです。

多剤大量処方が無くても、ベゲタミンやセレネースが無くても、治療が行える実例を体現していることです。

来週は、大変な週になりそうです。