ベンゾジアゼピン類の副作用を調べていて、混乱してしまった。




ネットで、検索すると「耐性がつかない。」とする情報と「耐性がつく。」という情報がともにあります。


よく読むと、耐性がつかないというのが日本の精神科の常識となっているようです。


それに対して耐性がつくといっているのは、そのエビデンスは海外のものです。




日本は、ベンゾジアゼピン類の天国です。


日本が、抗不安薬、睡眠薬の処方量で突出しているのは、このベンゾジアゼピン類が安全で副作用が少ないという定説の所為です。




日本語で検索すると、ネットでは、耐性がつかないが圧倒的です。




しかしながら、欧米のサイトでは、全く逆のことが書かれています。




真実はどちらでしょう。


日本のある論文では、欧米のベンゾチアゼピンの悪評は、根拠がないとまで言っています。


http://bz-drug-info.hp.infoseek.co.jp/




つまり、このテーマは、欧米と日本では、認識が真逆であるということです。




もちろん、私は日本の認識がおかしいと思います。


何しろ、バルビツレート類まで延命させているのですから。




いずれにせよ、これだけ認識が違うのは問題です。


決着をつける今が良いチャンスです。




薬害オンブズパーソン会議のホームページに掲載されていた論文です。


出所は、やっぱり英国です。




http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=65




睡眠剤使用の適正化

 (キーワード: 睡眠剤、ベンゾジアゾピン類、「Z薬」、使用適正化、dtb誌)



 dtb(Drug and Therapeutics Bulletin)誌42,(12),89-93(2004)に「睡眠剤の処方

はどこがおかしいか」が掲載されています。



 英国において月刊で発行されるdtb(Drug and Therapeutics Bulletin)は、フラン

スのプレスクリル、米国のメディカル・レターとともに、世界保健機関(WHO)が推薦

する3つの医薬品情報誌のひとつです。日本の「TIP(正しい治療と薬の情報)」、

「薬のチェックは命のチェック」と同じ、独立医薬品情報誌協会(ISDB、"独立"は医

薬品企業からの独立の意)加盟誌です(フランスのプレスクリルもISDB加盟誌)。英国

政府は、国民医療サービス(NHS)での薬物療法の適正化と質の向上のために、dtb誌

を一括購入してNHSの医師全員に配布しています。以下は内容の大筋です。



専門家団体は以前から、睡眠剤は急性的に睡眠に不都合の生じた 患者に短期間に限って用い、高齢者での使用は通常避けるべきだ と、助言してきた。



にもかかわらず、イングランドだけでも毎年出される睡眠剤は、1000万処方を超えている。その殆どはベンゾジアゼピン類またはザレプロン、ゾルピデム(マイスリー)、ゾビクロン(アモバン )のような同様の作用を持つ医薬品(Zの頭文字で始まる睡眠剤、 いわゆる「Z薬」)である。



 それらの処方の約80%は、65歳以上の高齢者に処方されている。 そして、多くの患者が何か月も何年も服用を続けている。そのような処方が、依存、事故、その他の健康被害のリスクを含む多くの害をもたらしている。



 最近市販された睡眠剤は、短期的には睡眠を促進するのに効果があるが、長期的使用での有効性を支持するエビデンスは殆どない。



 睡眠剤の使用は他の手段に失敗したときの最後の手段としてのみ、用いられるべきだ。その場合でも、可能な限り最短期間、最小用量で用い、望ましくは毎日でなく間欠的に(例えば3日に1回)用いるようにしたい。



 例えば、心に傷をもたらす急な出来事があって睡眠に支障を来たした患者に対しては、2―3日分というのが、多分最長の処方となるだろう。慢性的な不眠症に対しては、睡眠剤での治療は、通常適切でない。



 1993年から2003年までの10年間で、ベンゾジアゼピン類の処方は年間1000万から約6万に低下したのに対し、ザレプロン、ゾルビデム、ゾビクロンの「Z薬」処方は年間30万から400万以上へと増加した。このことは、処方した医師が「Z薬」に変える

 ことで睡眠剤の常用に伴う問題を避けることができると考えていることを暗示している。しかし、実際には、必要な注意はベンゾジアゼピン類と何ら変わるものではない。



 「Z薬」とベンゾジアゼピン類は化学構造的には違うが、作用の様式は変わらない。両者とも作用の発現は早い(30分から90分)が、「Z薬」は現在承認を得ているどのベンゾジアゼピン類よりも作用時間が短い。



 ベンゾジアゼピン類の睡眠作用への耐性は、毎日使用すると数週間内に発現する。



 ベンゾジアゼピン類睡眠薬(とりわけ作用時間の短いもの)の急な使用中止は、リバウンド(はね返り)不眠症につながる可能性がある。



 「Z薬」も数週間の連用で耐性を発現し、どの「Z薬」も、用量を減じていく際でも4週間を超える処方は承認されていない(ザレプロンは2週間まで)。



 睡眠剤は、用量に依存して過剰鎮静と認知が弱くなる弊害を引き起こす。それらは、残存効果、翌日への持ち越し効果として顕在化するかもしれない。この問題は、作用持続が短いか中等度の薬剤(8時間以内)を最少量で間欠的に投与することでのみ最小化される。



 「Z薬」は、ベンゾジアゼピン類よりも作用時間が短いので、昼間の残存効果が少ないことが期待できるかもしれない。しかし、「Z薬」を、最近販売された短時間ないし中等度時間作用のベンゾジアゼピン類、例えばテマゼパムと、相当する用量同士で直接比較したランダム化試験は殆どなく、比較したものでも不眠症の人々において安全性や耐性の面で首尾一貫した差異を示していない。



 処方する医師は、患者が相互作用の可能性のある処方薬やOTC薬ならびに生薬製剤を用いていないかをチェックしなければならない。



 離脱症状は、治療量を毎日長期間にわたり服用した患者の約30-45%に起こる。離脱症状を避ける基本戦略は、用量を徐々に減じることと、必要な場合は心理学的サポートを追加することである。



 プロメタジンやジフェンヒドラミンのような鎮静型抗ヒスタミン剤が、「睡眠補助薬」のOTC薬として広く販売され

ている。しかし、これらの薬剤のしっかりとした効果を示すエビデンスは存在しない。持ち越し効果はふつうに見られ、長期間用いるとリバウンド不眠症が起こり得る。



 NICE(英国の政府系臨床評価機関)は最近、ザレプロン、ゾルビデム、ゾビクロン、短時間作用型ベンゾジアゼピン睡眠剤の間で差異を比較検討したエビデンスが存在しないので、最も安価な薬剤(1日薬価)の処方を推奨している。



 結論

 

 現在の、高水準かつ長期に及ぶ睡眠剤の処方は、大抵高齢者が対象で、個々人や公衆衛生にとっても危険であることを意味しており、到底正当化され得ない。



 睡眠剤の投与は、一般的に、一時的な出来事、病気、動揺によって起こった急性的な不眠症を和らげるために、ごく短期間(望ましくは間欠的に、数日以上にわたることなく) のみ、行われるべきである。



 翌日への持ち越しの鎮静効果を最小にするために、短時間作用の睡眠剤を、最少量投与するべきである。しかし、高齢者への睡眠剤の投与はいずれにしても、可能なかぎり避けるべきである。



 現在販売されている睡眠剤はすべて、毎日使用すれば依存を生じる。このことを認識して取り扱うべきである。患者にはこのことを助言するべきであり、再度の必要性を吟味することなしに処方を繰り返すべきでない。



 ベンゾジアゾピン薬剤の長期間の使用者は、徐々に減量を助言することで、睡眠への悪影響なしに、健康への利益のために、減量や服薬中止を実現することが必ず可能である。




これ読んだら、安易に飲めませんよね。