一人で過ごした歳の暮れ、そして新年。
孤独をぐっと噛みしめた。
なぜこんな事態に陥ったかじっくりと考えた。
考えたというより、体で感じたというほうがしっくり来る。
考えることはもう十分やった。
忘年会を兼ねたサルサパーティでは、ばか騒ぎをやらかした。
そこには、IT社長を気取った昔の僕は、影も形もなくなっていた。
ただ、そこには、底抜けに明るい世界がある。
声を無くした代わりに貰った踊りの世界。
まだまだ歌の域には及ばないが、これも悪くない。
会社の方向性を決めた。
長いこと共に生きた仕事仲間とも別れることにした。
文句はあろうが、誰も激することもなく去っていく。
一つの良い時代が終わった。
新しく始めた畑遊び。
地元の人との新しい出会い。少しづつ溶け合う心。
もはや見知らぬ人ではない。
野菜と同じように大切に育てればよい。
きっと大きく育つ。
妻の突然の死から始まった精神科医との裁判。
いよいよ佳境を迎えた。
全国紙の社会面で取り上げたいとの記者を通じて、全国の被害者と繋がりが出来た。
いつの間にか、被害者会の代表となり、ついには厚生労働省の各課に精神医療改善のための要望書を出した。
年明けには、厚生労働大臣に直接面談する予定である。
ついに世論も、制度も直接変えようとする行動をおこすまでに至った。
悲喜こもごもな年末。
ふと気づくと一人で過ごす大晦日。
踊りに行くかと年越しパーティの会場まで足を運ぶ。
踊る人々の中に知ってる顔もちらちら見える。
そこに行けば孤独から解放される。
けれど、そこに混ざることは出来なかった。
突然、万感の想いが溢れ出て、その気にならなかったのだ。
雑踏なかにポツンと一人でいるような孤独感に襲われそうになった。
これは、かえってこれは悲しみが増すに違いないと家路につく。
家に帰ってもアリスが待っているだけ。
今年は、身を刺す寒さである。
久しぶりに正月らしい寒さ。
家に帰り、アリスを抱くととても暖かい。
万感の想いがわきあがる。
沢山ありすぎて一つ一つ想い起こすことさえ出来ない。
様々な想いが湧き上がり、哀しみも喜びも混ざり合い、ただ胸が苦しくなる。
だが、苦しいが、耐えられない訳ではない。
哀しみがなければ、喜びもないことをもう身体で知っている。
加えて、今は一人で生きるのが僕の宿命であると悟っている。
今年は、去年、芽生えたばかりの芽を大事に育てる年になる。
それは、今より、新しくて、明るい世界。
皆さん、明けまして、おめでとうございます。