妻の命日だったので、土曜日に墓参りに行った。
東京の奥、秋川の近くにお墓はある。
亡き妻は、彼女の実家のお墓の中で眠っている。
子供も出来なかったので、実質、彼女の実家にお返しした格好だ。
彼女のお父様は、それが僕に申し訳ないという。
いや、一人で入る墓を新しく建てるより、祖父、祖母の入るお墓の方が僕も気が楽だ。
珍しく、東京は雪。
(都心部はちらつく程度だろうが、この秋川では、かなりの雪だ。)
雪の中で、一人花を供え、ろうそくに火をつけた。
雪ですぐに火は消える。
ビショビショになったが、ご無沙汰した彼女の怒りだと思い、そのままだまって濡れた。
それで、許されるとは思わないが、その方が僕の気が楽なのだ。
日曜日は、代官山のバーの閉店パーティ。
善良という言葉が、これほど似合う人たちを僕は知らない。少しヤクザの入ってる僕にすると、若干居心地が悪い。出席率の悪い僕も、パーティに呼んでもらった。
嫁が亡くなって、逃げるように恵比寿にやってきた。
それが、ちょうど4年前。2年おきのマンションの更新書類も届いている。
そうか、もう4年も経つのだ。
恵比寿で一人暮らしを始めたのが、44歳。
やっと暮らしに慣れたころに、出会った店。
カレー大会や、絵の展示会など、僕の知らなかった自身の才能を引き出してくれた。
3年で閉店。
西麻布男前店も気がつけば、もう2年。
時の流れは、早いが、同時に、こんな生活を10年くらい続けている気もする。
変わっていく・・・。
閉店する代官山の店主は、何も言わずただ微笑んで店を閉める。
これから、どうするの?
と聞こうと思ったがやめた。
聞いたところで、自分には、出来ることがないことを知っているから。
ただ、幸せになってもらいたいと心の中で思う。