際立つなる言葉がある。
際立つ:他よりも飛びぬけている状態、秀逸な状態をさす。
際立つの語源は何だろう。
検索してみてもどうもしっくりする解説が無い。
実は、十数年前、丁度サラリーマンを辞めたときに、当時の上司に贈られたのが
「際立て。」
という言葉だった。
その年の元旦の朝日新聞一面の天声人語のキーワードが”際立つ”だった。
大企業をやめ、会社を起こそうとした丁度そのとき。
その内容は、
崖の際に立つものは、その崖の下を見ることが出来る。
崖から遠く離れて見ているものは、その崖の下を永遠に知ることは出来ない。もっと云えば嘘を吐かれてもわからない。
反対に、崖の下に居るものは、崖の上のことは何も知らない。
崖の際に立つものは、崖の上も下も知っている。
当時、図らずも僕が立たされたのは、大企業とベンチャー企業の間の際だ。
ベンチャー仲間同志だけで仲良くしてても何も始まらない、井の中の蛙大海を知らずってことだ。
逆に、大企業の勤め人に、ベンチャー企業のことなどいつまでたってもわからない。
起業して知ったのは、日本経済を支配する巨大かつ堅固な利権構造だ。
役人の話だけではない。民間企業のビジネスにおいてもだ。
そこに割って入るのは、並大抵の努力では難しい。
だが、際に立ち、大企業のビジネスを見ていれば、時折ぽっかりと空いた穴や利権構造にひび割れを見出すことがある。
利益は確実にそこにある。